超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【タイトルの真の意味は…】澤田ふじ子『惜別の海(下)』

明日もかぁ…

まさかのお休みなし…ぐはぁっ。

 

 

 

 

澤田ふじ子『惜別の海(下)』

惜別の海(下)
澤田ふじ子

新潮社 1998年04月30日
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by ヨメレバ

 

 

 

 

運命に翻弄されていく

それぞれのものたちが、

それぞれに愚者の愚の計画に翻弄されていきます。

いい意味でも、悪い意味でも。

 

そしてその戦いは消耗していき

石工として朝鮮へ渡った十蔵たちに

悲劇が訪れることになります。

 

それは非人道的な行為から

捕まったものを守るために

起きてしまったことだったのです…

 

感想

下巻になったら読みがいが非常に出てきて

最終的に良かったなと思える本ですね。

ただし、よい本ですが万人には薦められません。

 

なぜかと言えばとてつもなく陰鬱な思いを

することになってしまうからです。

 

一応歴史を学んでいればわかるでしょうが

この戦いは残念ながら、負け戦です。

 

最初の内こそ未知の武器(鉄砲ですね)を

持っていたがゆえに文を大事にしていた朝鮮の人たちを

圧倒することができていました。

 

しかしながらここは異国の地です。

生きるためには何が必要か?食料です。

そして文化が違うということは…

周りは敵ということは…

 

つまり、いくら数があってもだんだんと減っていきます。

そして狼藉の限りを尽くすものも多くなります。

そうなるともはや手に負えなくなるものです。

絶対数が多いですからね。

 

そしてそれに嫌気がさすものはやがて

日本そのものにも反旗を翻すのです。

 

ただし、十蔵達大森衆のものたちは

彼らを監視するために来た武士が

捕虜たちを慰み者にしたことに怒って

叛逆行為を犯したのです。

 

しかしながらこの武士どもの中に3人逃げたものがおり

そのために謀叛の事実は日本へと伝わり

彼らの拠点は成敗される羽目となったのです。

 

もうこんな不条理はないでしょうよ。

どう頑張ったって反乱因子しか出ないというのに。

異国の地で孤立無援だし…周りの状況もわからんのに。

 

でも大森衆の皆は立派だと思います。

まあ結末はね…

あまり触れませんがこの本を最後まで読んだとき

タイトルが帯びる悲しみがひしひしと伝わってくると思うのです。

 

実は十蔵はちょっとした災難に見舞われるのです。

それがためにその運命は決まってしまったも

同然だと思います。

 

なぜに運命は望んだ形に動かないことが

多いんでしょうね。

だからこそ人は人なのかも…

 

おわり

ン?アイツに触れてないでしょ!!って?

あのアイツは途中までいい思いをするので

なんでバチ当たらないんだ!!と思うことでしょう。

 

ちゃんと天罰は訪れます。

実は関係者に秘かに復讐心を持っている人がいるのです。

その人についにね…

 

確かにそれは莫大な財をもたらします。

でもね、そこにはたくさんの涙とやるせない思いがあるの。

その念を受ける覚悟がないやつは、やってはいけない。

 

なので自業自得でしょうね。

その一方で傾奇者の彼はしっかりと

その心を入れ替えています。

彼は完全な悪ではなかったですし。

 

前半部分(上巻)が読みづらいのと

文章形式がアダになってるね…

この形式が許されるのはノベルズまでなんだよ…

あまり好ましい形式ではないと思うんだ。