超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【それぞれが迎えるあの出兵】澤田ふじ子『惜別の海(上)』

鼻の不調は消えてきましたね。

何だったんだろう…

あ、規定日数きちんと薬は使います。

勝手にやめるとか愚行でしかないもん。

 

 

 

 

澤田ふじ子『惜別の海(上)』

惜別の海(上)
澤田ふじ子

新潮社 1998年04月30日頃
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愚の歴史に翻弄されていく

明らかに望みが薄い事柄があるのに

誰もそれを阻止できず、受け入れねばならなかったら…?

それがもしかしたら未来がない事柄だったら。

 

そう、この物語はあの朝鮮出兵を

テーマにした物語です。

上巻はそこに巻き込まれることが

確定していくまでのお話です。

 

感想

割と物語の進みが遅いのと

メインであろう視点のほうが正直薄いのが

難点でしょうかね…

 

それと大問題なのが文章の形式。

この形式使うの正直言えば

ノベルズだけにしてほしいんだよね…

 

把握しやすい文章を書く人ならば

別にこの形態でも大丈夫なんだけど

この方のは肝心のメインの視点が

今回少ないからね…

 

そのメインの代わりに出てくるのが

まあまあやり手だけれどもものっそいクズ男だから

なお一層感情を入れづらいのもあるのかもね。

 

そのクズ男は宮田以蔵といって

なんだかんだでいろいろと手癖の悪い問題児でした。

まあ女に入れあげていてあちこちつまみ食いしてるのよ。

 

挙句の果てに出奔したときに

出奔前に関係を持っていた女性であるお竹を

妊娠させて逃げているんですよね。

 

そのためお竹は心労で自殺未遂を

起こしているんですよ。

 

そんなク…ゲフンゲフンが懇意にしているのは

商売女だったのです。

ひょんなことからある男に気にいられた以蔵は

くすねてきた刀の金を元手に遊女屋を経営することに

なったわけです。

 

もちろんコイツの入れあげた女は

超級クラスのやりて女性なので

あっという間に遊女屋はその界隈では

名の知れたものになります。

 

そんな中ある事情で売られてきた

はねっかえりの女性を十二屋で扱うことになって…

 

そしてこの逃げた元の家でも

波乱の日々がやってこようとしているのです。

 

だんだんとあの関白の狼藉があらわになり

千利休は切腹を命じられ生涯を終え、

明らかな価値みこみのない愚戦ともいえる

朝鮮出兵の波が押し寄せてくるのです。

 

それはある夫婦になる運命である

男女を引き裂くことにもなるのです。

刻々と迫ってくる別れの時…

 

そして、彼らはどうこの

荒波へと対抗していくのでしょうか。

 

おわりに

まだ出兵までには至りません。

ただし、最後のひと悶着といい

波乱の訪れを感じるのです。

 

実は冒頭で主人公の人たち(十蔵と於根)は

ある子どもの狼藉の結果追い詰められている

父娘を助けるのです。

 

実はその男は

ただものではない人間だったのですが…

ここの点も気になるところですよね。

 

それぞれが迎える

最悪の運命。

どうなっていくのでしょうか…