超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【呪縛から逃れたもの、そうでないもの】有栖川有栖『女王国の城』

 

明日は有酸素という名の

買い出し遠征をしようと思いましたが

やめました。

来週に回したいから。

 

 

 

 

有栖川有栖『女王国の城』

女王国の城
有栖川有栖

東京創元社 2007年09月

by ヨメレバ

 

 

部長、姿を消す

普段から不思議な人ではあったのですが…

江神氏が突然姿を消してしまいます。

 

ちゃんと彼はその後見つかるのですが

なんと前作のような連絡が取れない事態に!!

何が起きたんだか…

 

その不穏な空気はのちに

連続殺人事件へと発展するのです。

 

感想

※多分感想長くなるよ、申し訳ありません

 

実を言うと先日読んだアンソロジーに

この作品の前日譚が入っていました。

団体の名前を見てはっ!!となったのは言うまでもありません。

 

その人類協会という謎めいた宗教団体で起きる

奇怪な連続殺人事件と

なかなか警察に通報させてくれない

団体とアリスとゆかいな仲間たち(!)の

割としょうもない戦いも描いた作品です。

 

だけれどもこの本ね、最後まで読んでほしいんだ。

最初に伝えておくよ、この本すごーく長いんだ。

 

今回は単行本のエディションで読ませていただきましたが

文庫本の場合、上下巻となっています。

うん、私どっちにしようか迷ったよ。

 

でも、この選択肢間違ってなかったね。

一気読みしたいぐらいに惹かれて

一部作業がおろそかになるぐらいにかじりついてしまいました。

 

勘のいい読者の方ならば

今回の犯行のカギにはこの団体が

「禁忌の場所」としている場所がなんらかの

解決の糸口になるのは容易に推測できるでしょう。

 

それと、序盤で見かけた謎の少女が

後半部分でいなくなったある少女だと気づくのも

理解できることでしょう。

 

この2つの事柄が結び付くと

この神倉で未解決だったある事件に関して

つながりが見いだせてくるのです。

 

それは禁忌の場所のある性質、にあるんですよ。

それがわかると…

 

だけれども過去の事件の真相は驚きでしたけどね。

そこからさまざまな事柄がつながっていくんです。

そりゃあ鮮やかにね。

 

ちなみにこの本で一番大事なのは

この事件の犯人がなぜ犯罪に至ったか。

そして、江神との対峙の部分ね。

 

犯行理由を知ったときに、対峙する人間が

江神とは対照的だな、と思ったのです。

 

恐らくですが彼がここに潜入したのは

恐らくこの団体の過去を知っていたからでしょう。

今でこそUFOがなんたらですけど昔はね…

 

ちなみにその対峙した人間はその過去ゆえに

大変過酷な目に遭ってしまっているのです。

それ故に犯罪を犯したのです。

 

1つの事件のみ凝ったトリックを用いた

時間差殺人をやってのけているのですが

それもこの過去の呪縛だったのです。

 

ちなみに江神も結末や過去の作品でちょろっと出てきていますが

この犯人と似た境遇なのです。

 

片や遠回りをものっそいしたけれども

こうして推理小説研究会の楽しい仲間と出会えました。

 

だけれども片方は…

誰にも心のうちは明かせず、過去の経験上

湧き上がる負の感情を抑えられなかったわけで…

 

それを読んだとき、何とも言えない

悲しい感情が沸き起こりましたね。

 

おわりに

なお、人類協会がなぜ通報を拒んだかといえば

ヒントとしてだれか姿を現さなかった人がいますね?

その人が…なことになったからです。

 

この部分もちゃんと情報出しているので

アンフェアじゃないですよ!!

ただしおーいにはなったけどね!!

 

シリアス一辺倒ではなくて

実はゆかいな仲間の逃亡劇もあったりするので

飽きずに読めるかと。

ほら、長くなったやろ…