ちゃんと生活を整えると、当たり前の日々が
すごく楽しいものに変わるものですな。
人工心臓 国書刊行会 1994年09月
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とても人は、恐ろしい。
人は時に極端なことを行動を起こすことがあります。
いわゆる狂気に駆られてしまうわけですね。
著者の作品には、その狂気の描写が
巧みなんですよね。
特に犯罪が達成したり、事実が判明したときの
狂気の表現が。
思わず後ろを振り返ってしまうほどにですよ。
人によっては眠れなくなるかもしれませんよ…?
感想
おそらく面と向かって読んだのは初めてかもしれません。
もしかしたら何らかのアンソロジーで触れている可能性は
無きにしも非ずなのですが、触れた記憶は私の脳筋ではないような気がします。
はい。
ミステリーな作品もあり、SF要素が絡む作品もあります。
表題作はSF的な作品です。
もちろんミステリーでなくても狂気を含んでいるのですが。
いわゆるその目的たるものが「永劫的な生命」をゴールにしているんですからね。
でもシステム的からすればそれが破綻をきたすのは
まあ想像ができるわけでして。
明らかに使われるもの、というのがメンテナンスが必要なものばかり。
そして、研究者も結局は体に変調をきたしますし
それを支え続けた妻も、変調をきたしてしまいます。
想像はつくかと思いますが、つまり心臓をどうするかは
予想がつくことでしょう。
結末の一文にも恐怖を覚えるものがありましたね。
人っつーのは実にこええもんだな。
その一方でスットコドッコイな作品もまた、面白いものがありまして
「稀有の犯罪」というある財宝に目がくらんだ3人の泥棒の
破滅までの物語を描いたものです。
潔いまでの破滅です。そう、おしまいDEATH(リアルDEATH)に
なってしまったのですから。
まあちゃんとこれは手に入れた財宝にこれからの破滅を示唆する
要素が含まれているんですよ。
青いダイヤモンド。これは不幸を引き寄せるといわれている代物ですからね。
まず一人が独り占めをしようとして死亡。
あとの二人は取り戻そうとしたら…
あとの二人の者たちの崩壊劇が必読となっております。
まあまあスットコドッコイで読んでいる側が目を覆いたくなるような
カワイソーな展開が待っておりますので。
それだけのスキルがあるのならば、本当全うに生きておけよと
本気で思いましたもの。
後半の方にはいわゆる評論が出てきます。
ポオの作品が好きだった、というのは評論家らも
うかがい知ることができるんですよね。
思わずまた読みたいな、と思ってしまったぐらいです。
いつか機会があったら、ここに上げるついでに読みたいものです。
おわりに
本格的ミステリーの作品も好きだけれども
こういった狂気が前面に出てくる作品も好きなんですよね。
いわゆる復讐物というのもこの作品にはあるのだけれども
(やる側もやられる側も)最後の方の畳みかける感じが
ゾッとするんですよ。
こういう世界に浸ることができるから本の世界は
面白いものですね。