今日は雨です。まぎれもない雨。しとしとと降っております。
こういう日は、眠気を催すものですね。
JR瀬戸大橋線の危機 徳間書店 1989年01月01日
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二人の女性の「死」
駅から離れた山中で絞殺された女性と、瀬戸大橋のプロトタイプとなった橋で
爆殺された女性。
一見すると何にも関係のないように思われますが
この事件、つながりがあるのですよ。
しかも一見すると怨恨に見えるものの…?
感想
この作品は鉄道警察・高杉警視シリーズと呼ばれるシリーズものです。
一応4冊ほど存在するようです。
むろんのことではありますが、鉄道ミステリーとなっております。
時刻表に関したものも出てきますが明らかに関係者でないと
わからないような事情も出てくる部分があります。
(後半になると関係者じゃないと関与できない事実が判明します)
一応高杉警視には遠藤と呼ばれる相棒が存在します。
はじめのうちは道もさえないような若手に見えますが
鉄道が好きであるという気持ちは読んでいるだけで伝わってきます。
事件調査の目的であるマニアックな組み合わせの電車に乗るときの
うきうきした描写は、そういうのが好きじゃないと書けませんしね。
(一応この方、ミステリーメインではなくて鉄道関係がメインです)
そしてだんだんと浮かび上がってくるのは、便利がもたらした
負の側面というもの。
橋の沿線というのは島民たちが無論住んでいます。
そして、鉄道は割とひっきりなしに通っていきます。
つまり、それは騒音が発生するのです。
現実に犯行にかかわった者たちの中には
家族が騒音の被害に遭ってしまいだんだんと元気をなくして
しまっていると訴えたものもいます。
その他にも犯行関係者には純然たる思いで鉄道にかかわろうとしたものの
それから外れてしまうことに深い恨みを抱いたものもいます。
(これがいわゆる関係者の犯行を彷彿とさせるもの)
でも、これはあくまでも…なのです。
真の顔というのはもう最悪ですよ。
この思いを踏みにじったといっても過言でないぐらいです。
でもね、安心してこの作品は読んでほしいなと思います。
きちんと報われる部分は報われるのです。
だけれどもね、1つだけはどうにもならなかったのです。
でも、その当人が悪いわけじゃないのです。
彼にかかわった人間が、あまりにもえげつなさ過ぎたのです。
まちがいなく、ね。
おわりに
このシリーズはおそらく、無駄に推理はしないほうがいいかと。
今回のケースではまあ推理するだけ無駄な犯人形式でしたし。
でも、最後、真っ黒なことを企んだ黒幕どもが高杉警視にあっけなく
計画を見破られて破滅していくときはすかっとしましたね。
本当に破滅です、完膚なきまでに。
ほかの作品も楽しみ。