明日からまた元の生活に戻る。
そして忙しい水曜日もまただろうね。
でも、この日々は当たり前じゃないんだ。
天人五衰 豊饒の海(四) 新潮社 2003年04月
|
再び悪い癖が
あの男の悪い癖が再び…
妻を亡くした本多繁邦は
慶子とともにいる日々が多くなりました。
そんな中、一人の少年に目が留まります。
どこか人生に対して冷めた目を持っている少年。
そしてその体にあるほくろに気が付いた本多は
彼を養子に迎えることを決意します。
だけれども…
感想
これにて一連の作品は完結となります。
なんとなく変な感じの終わり方になっているのは
この作品を終えた後に急ぐかの如く
命を絶っているということ。
ある種遺書のような作品だったのでしょうか?
扱っているテーマも輪廻転生(?)がテーマとも取れるのでね。
だけれどもそれにしては不自然な点が多いんだよね。
今回の主人公は安永透という
孤児の少年です。
両親のない彼は船舶関連の職業に
就いていたのです。
まあ彼のその描写からもわかるでしょうが
なかなかの切れ者なのはわかることでしょう。
だけれどもその一方で何とも言えぬ
冷酷さを持っているんですよね。
それは常時傷つけたいという
恐ろしい衝動があるということ。
それは表面上は優しくしている
なぜか仲のいい絹江という女性で特に
感じたことですね。
それは彼女の描写が美人といっているけれども
その表現が妙に不自然なことから
うかがい知ることができたわけで。
内情は絹江は…なわけでして。
…なところはあまりこの表現を使いたくないので
どうかお好みの文字をお入れください。
なのでかなり冴えわたる頭の一方で
かなりの鬼を持っている少年なんですよね。
そしてそれは本多の好意を受け入れ
勉学に励み、その後に
無事に大学に入った後から露骨に現れます。
そう、彼は根っこに本多の復讐を
誓っていたわけです。
なぜそうなのかは謎ですけれどもね。
恐らく権力への復讐かな。
彼はなんとか本多を亡き者にして
カネをせしめようとしていたので。
でも…
この後に起きる出来事が
この作品「そのもの」の破綻を意味するのです。
まあその傾向は3巻の終わり部分に
すでに出ていたんですよね。
なので3巻のそれはおそらく「本田はしくった」
と解釈しています。
そして今回で決定的にしくったのが
確定的となるのです。
期日に出来事は起きなかったということで。
まあ私の解釈で言えば3巻時点ですでに糸は
ブッツリだったのかもしれませんね。
そしてすべての綱を切られた本多は
かつての始まりの地へ行くことになりますが…
まあ、そうなるだろうねぇ…
いろいろ解釈できるけど
恐らく輪廻転生に執着した本多は
いけないところに手を出した時点で
破綻していたんだと思うよ。
おそらくね。
おわりに
結末は何かと賛否は出るでしょうが
この展開であろうが不満が出ないところは
やっぱり彼の文章の力なんだろうな…
と思うの。
きっと彼はもう書くものがここで終わったんだと思うな。
ある種至高の域に行っちゃってるしなぁ…