超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【ある夫婦が一歩を踏み出すお話】西加奈子『きいろいゾウ』

何もできないもどかしさね。

あがいてもあがいてもダメな時はダメなの。

私も今そうだわ。

 

ただひたすら取り組むしかねぇんだよ!!

 

 

 

 

西加奈子『きいろいゾウ』 きいろいゾウ
西加奈子 小学館 2008年03月
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不思議な力を持つ妻と…

不思議系作品。

正直に言ってしまうと

この方の1冊目にこの作品を

持ってくることを著者は推奨しません。

 

事情が分からないまま

物語は進むから。

でもね、心温まる作品だよ。

 

感想

ある駆け落ちしてこの地にやってきた

一組の夫婦を素地にしたお話。

 

ちなみにこの作品のメインは

夫婦の夫の方のムコさんです。

 

ムコさんはある事情により

心に傷を抱えているのです。

それが今回の作品のテーマです。

 

それはムコさんのかつての交際相手に

絡んでくるもので

身近な人たちに対処できるもので

ないゆえにね…

 

この作品は

ムコの視点もそうだけど

ツマの視点も大事な本。

 

ムコはどこか私に通ずる感じの

雰囲気を持っているの

なぜかと言えば

彼は、ある理由により

体にあるものをまとっています。

 

それはその後に交際し

結果つながったツマにも

伝えてはいないことでした。

 

そしてツマは少女時代に

心臓の病気ゆえに

外に出ることすら不自由な子でした。

 

今でこそ自由ですが

その不自由さは

数多く傷を残すことに…

 

ちなみに彼らに関わる人たちも

実は心の傷を持っている人がいます。

 

ムコが小説で食べていけないときに

介護施設で出会った職場の人もそう。

 

彼女はのちに

登校拒否でこの田舎に来た少年に

惚れてしまう子の祖母ということが

判明しますがね。

 

これはいわゆる共依存だね…

本当は隔離されるべき関係だけど

もう彼女はあきらめているの…

 

まあこういう関係は

身近にいるから何も言えないところだね。

 

そしてチャックが常時全開の

アレチさん。

 

実は彼にも心の傷はあります。

それはツマやムコに現れる謎の存在として…

 

アレチさんにはどうやら見えなかったですが

その代わりに妻が追体験をすることになります。

 

これはね…あまりに悲しいお話。

これ系はいつでも傷つくのは

一般の人たちなんよ。

 

おわりに

この作品は同一作家の別の作品を読んでからのほうが

とっつきやすい作品となっています。

彼女の文章の癖を知らないと

面食らう作品になると思う。

 

なのである日常にある不思議系が

メインの作品を読んでから

この本は読んだほうがいいかな。

テイストも似た感じだし。