超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【忽然と消えた船の秘密】平岩弓枝『はやぶさ新八御用旅(五)』

明日は特に何もないところだけど

軽くではあるものの外出の用事があります。

あまりお休みの日の意味ないし、

もう明後日は天気がよければお休みじゃない…

 

 

 

 

平岩弓枝『はやぶさ新八御用旅(五)』

はやぶさ新八御用旅(四)
平岩弓枝

講談社 2009年11月13日

by ヨメレバ

 

 

 

 

消えた船と殺された男

一見するとつながりがなさそうに思えますよね。

実は、この被害者はある事実を

隠し持っていたようで。

 

そのために関係者であったであろう人間が

突如として江戸から姿を消してしまうこととなります。

 

それと同時に、お鯉が何者かによって

さらわれてしまうのです。

そして平八郎直々に果たし状が届くこととなって…

 

いったい何があるというのでしょうか。

 

感想

この作品を読み終えて感じたことは

私たち読者側が知りたいと思う事実と

こうではないか、という推測にきっちり答えている

仕事の丁寧さでした。

 

実は今回の事件には薩摩藩が関わる

真っ黒い悪事が関連しています。

それはね、抜け荷でございます。

 

取引に制限がかかっているものや

持って行ってはいけないものを秘密裏に

取引しようだなんて言う不届きものが

どこの時代にもいらっしゃるんですよ…困ったことにね。

 

今回は新潟の方面の方で

そういう不届きものが出てしまったわけです。

 

そこでは18年前に事件がありまして、

その事件では2隻の船の喪失と

関係者の息子が薩摩藩の侍に殺されてしまうという

悲劇が起こってしまったのです。

 

それもまた抜け荷関係の事件です。

どうにかその不届きものをとらえようとしたときに

その関係者は殺されてしまったのです。

 

そして時はたって、

物事はつながるんですよね。

 

実はお鯉の誘拐も「あることのため」に

関係してくることになります。

 

決してこの誘拐に関わった人は悪くはありません。

理由があって今回の手段に出なくてはならない

のっぴきならない事情があったからなのです。

 

それが今回新八郎たちが解明していくべきなぞと

なっていくんですよね。

 

その中で出会う人の中には

18年前の事件に深く関わったものがいて

恐らく手を下したふてえやつも知っている人がいました。

 

話を新八郎が効いていくうちにその男も

救われる思いがしたのでしょう、

いきさつを仔細に話しているんですよね。

 

この作品は冒頭で言ったとおりに

パズルのピースの埋め方が丁寧です。

 

関係者である男の息子の死も

誰がやったかは読者側が先に知ると思います。

「この名字、もしや…?」と思うはずです。

それが正解ですからね。

 

ただし、ちゃんと読者を驚かせるための

切り札も用意されています。

絵馬に書いてあった三人の人物の一人ですね。

 

なぜか思い当たる人の名前とは異なります。

ちゃんとこれも、理由が後半に見えてくるんですよ。

そして引っかけにかかっています。

 

そして、クライマックスも…極上でしたね。

 

おわりに

本当に諸悪が滅せられてよかったなと

読み終えて深く感じた作品でしたね。

 

この一連の事件で様々な人たちが犠牲になり

涙を流してきたんですからね。

この展開が妥当だと思うんですよ。

 

今回はモテモテシーンはありませんが

これだけしっかり読ませてくれればそれがなくても

よかったと感じますってば。

 

 

おしまい