超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【その想いを筆にのせ】小川糸『ツバキ文具店』

一切青いマークがないんですけれども…

過酷な1週間のようだね。

残念無念また来週。

 

 

 

 

ツバキ文具店
小川糸 幻冬舎

2016年04月21日

by ヨメレバ

 

 

 

 

その想い、届けます。

代筆屋というちょっと珍しい職業が出てきます。

様々な理由から、相手に手紙で想いを伝える…

それが主人公である雨宮鳩子の文具店以外の顔でした。

 

ちなみにこの生業は看板には出していないので

ある種のツテでここにやってくるんですよね。

 

さて、どんな依頼がやってくるのかな…?

 

感想

この依頼も面白いのですが

鳩子の周りにいる人たちも暖かいんだよね。

 

その中には素敵なマダムがいるんですよ。

バーバラ婦人とあだ名がある女性ね。

 

輝いている女性の象徴ですね。

たくさんのボーイフレンドがいて、

時に海外旅行にも行って…

だけれどもそれが普通の様にあられるのよ。

 

嫌味じゃないんだよね。

時にこういう人の中には

周囲のマウンティング的なのを

匂わせていやな感じがする人がいるけどね。

 

総じてそうじゃない人。

思うがままだけれども気づかいのある人ね。

主人公がある問いをしたときに

「今が一番楽しい」と答えているからね。

 

うん、その輝きでわかるよって感じ。

 

それとこの本には難案件の代筆依頼があって

そのうちの1つが絶縁状なんですよね。

 

そりゃあ悩むでしょうよ、フツーの手紙じゃないだもん。

関係性を切る、ですからね!!

負の案件は扱う場合は大変なのよ。

 

2件実は続いてきます。(うち一人は割と鳩子と関係が深い)

1つ目のそれがなるほど!!と思えるのよね。

 

おふざけに見えるけれども

そこまでしたいぐらいに私はあなたとは

もう金輪際関わりたくないんだ!!という

決意が取れるんですよ。

 

ただ、憎しみあってではない関係で

なあなあでい続けた結果

悪い面がにじみ出てきた感じで

それに耐えられなかったケースですね。

 

こういうのは地味に

気力減退やストレスが蓄積するので

切るに越したことがないんです。

可能であればね。

 

2つ目は…

理不尽な案件でしたね。(関係者案件)

確かに感謝はしているけれども

現状のあなたとはともにいたくないケース。

 

どちらもそつのない文章なんですよ。

相手を激高させることなく

関係を終結させていますしね。

 

と、思うとやっぱり伝え方なんですよね。

 

あ、この作品のテーマは

身近な人の関係かも。

実は祖母と主人公はその生業の鍛錬で

すれ違いがあり、祖母のもとを去ったのです。

 

そして祖母亡きあと、

封印していた代筆業を始めているのです。

 

ラストの想い、ぜひ読んでほしいな。

想いって伝えないと、わからないものなんだよね。

どのような形でもね。

 

おわりに

確かに祖母は厳しかったし、

それで犠牲になったものもあったの。

でもね、その頑張りをきちんと

見てくれた人が実はたくさんいたんだ。

 

きっと祖母は孫を愛していたんだろうね。

でも、愛し方がわからないからこそ

厳しくするしかなかったのかもしれないね。

 

でも、厳しいばっかりじゃなかったんだよ。

それは終盤に彼女のおぼろげな記憶として

でてくるからね。