超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【気が付いたら、体が小さくなっていた】梨木香歩『f植物園の巣穴』

 

明日も行くんだな…

雨のお怒りに触れる前に

しっかりとやってくるんだよ…

 

 

 

 

梨木香歩『f植物園の巣穴』

f植物園の巣穴
梨木香歩

朝日新聞出版 2009年05月

by ヨメレバ

 

 

 

 

植物園の周辺はヘンテコ?

なんだか夢のような感じの場所でしたね。

在る場所は現実のはずなのだけれども

登場する人物たちがことごとくヘンテコ。

 

しかも主人公が治療に行った歯医者は

えらく「怪しい」、あやしいんですよ。

だって、そこ医者の妻が犬(!!!!)なんですからねぇ。

(時折姿が戻ってしまう)

 

そして治療に関しても長らく

患者が来なかった(!!!)せいで

もういろいろとおぼつかないのよ。

 

そんなもうやばさ炸裂の中

男は不思議な場所へと迷い込んでしまって…

 

感想

今回は赤字表示にはしないけれども

歯医者の苦手な方(多いだろうね)は治療中、

もしくはデカい治療を控えている人は

読まないことをお勧めします。

 

想像しただけで痛い描写が

なかなかの頻度で出てきておりますので!!

私はきれいな歯を維持している(ドヤァ)なので

こういったおっかない治療は

もうかなりの年数受けていません。

 

結構この描写うわあと思ってので

ちょっと触れてみましたよっと。

 

この作品はあるシリーズからだと

区切りがないために読みづらさを覚えるかもしれません。

実際、私がそれを感じましたね。

 

だけれども、そこはぐっとこらえて

読み続けていただければ幸いです。

だんだんと面白くなってきますので…

 

それはあるいきさつで彼の姿が

子どもへと変わったときからですね。

水の流れを戻す、というのが大きな目的です。

 

まあすべてを読み終えたときに

この流れの滞りがなぜ起きていたかもわかるし、

時折彼が耳にしていた「一種の警告」が

どういうことかもわかってくることでしょう。

 

別サイドのf植物園に迷い込んだ彼は

途方もない旅へと赴いていくのです。

その途中で不思議なひとりの名を持たる

カエル小僧と出会い、ともに旅をすることになります。

 

なぜか、彼には父親も、母親も

いないこととなっています。

あえてここは「なっています」にしています。

どういうことかはこれも彼との一連の旅の終わりに

明らかになっていくことです。

 

そのたびはある種、主人公である佐田豊彦の

再生の旅とも言っても過言ではないでしょう。

 

実は彼は心にけっこうなクラスの「闇」を抱えていたのです。

2つあるのですが1つ目は子供心にショックだったからこそ

あえてそれを封印してしまったこと。

 

そしてもう1つは…これも気持ちは分かりますね。

大事だったからこそ、それがないものになったときに

心が壊れてしまったのでしょう。

 

この2つ目の事柄の闇から豊彦が解放されるとき…

恐らく何かを感じることができるのではないでしょうか。

あ…と思えるはずですよ。

 

おわりに

これ不覚にもううってきてしまったやつだわ。

誰しもが確かに闇を抱えているのよ。

それをこじらせすぎると時に豊彦のように

事実を歪にさせてしまうことがあるの。

 

それを愚かとは言えないよね。

そうしなきゃ彼は耐えられなかったんだもん。

でもね、いつかはきちんとそれに向き合わないといけないんだよね。

 

きっと、これは何かの運命だったのかな…?