超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【ある種のアンサー物語】神永学『イノセントブルー』

 

現実は情け容赦のないものだ。

まあいい、やり遂げるまでだよ!!

 

 

 

 

神永学『イノセントブルー』

イノセントブルー
神永学

集英社 2013年01月25日

by ヨメレバ

 

 

 

 

謎のスーツの男…

なぜが濡れた状態で発見されたヘンテコな男

その男にはある力がありました。

 

そんな彼を発見したのは

ある「訳アリ」らしい一人の男性と

そこで働く一人の女性。

 

彼の料理はおいしいのですが、

なぜかコーヒーが「苦くてまずい」で

定評だったのです…

 

そんなペンションで起きる

何かに惹かれたものたちの物語…

 

感想

結構最初のほうは特殊ともいえる視点で

物語が展開されていきます。

まだまだこの時点では点となっています。

 

最初の青年は何やら交際相手にと

別れてから謎の執着を持っているようで。

一人の女性に何かを感じ取ったようです。

 

また一人の医師。

ある人間を探しているようですよ?

だけれどもその関係はただならぬ関係で…

 

そして、死を決意した一人の経営者

こんなはずじゃなかったのに…

 

最後に、青年が探している一人の女性。

その魔の手から逃れようとしますが…

 

うち1つは割と早くに点と線になります。

だけれどもその他の視点は

展開が進んでいくにつれてつながっていくことになります。

 

ちなみに何かと訳ありの激マズコーヒーの男ですが

ある種の負を抱えているんですよね。

実はこの中の何人かと前世で関係があるようです。

 

それは一人の謎めいた男である

才谷梅太郎が不思議な力を使って

彼らに見せていくわけで…

 

ちゃんとその時に激マズコーヒーがなぜ彼の看板(?)と

なってしまったかも判明します。

これはかなり悲しい理由となっています。

 

そして彼に決定的なトラウマを

植え付けてしまった人間にもこの激…いや森川誠一郎の

前世と関係があるんですよね。

 

なぜ彼がこんなペンションにいるか…

これが一番悲しいお話になるかもしれません。

彼は間違いなく名前の通りでまじめだったのですよ。

だけれども、ある理由によってそのもとの場所からは

去らねばならなくなったのです。

 

それとね、この作品にはもう一つメインがあります。

まあ、こっちのほうがこのタイトルの主題ともいえるかな。

 

確かに前世はあるのかもしれない。

まだ確定的なことは現在言えないので「仮定」の形を

使わせていただきますね。

 

だけれども、それをまんま鵜呑みにして

愚の行動を起こしてしまうのはあまりにも愚か。

現実にこの作品の冒頭に出てきた青年は

自分のエゴをむき出しにし、件の女性を苦しめるのです。

 

だけれどもその時才谷が見せた現実は

あまりにも彼にとっては残酷すぎるものでした。

 

結局はね、それが真の情報だったとしても

それはもう過去であり、現在ではないということ。

そして過去は絶対に変えられないのね。

 

それに気づかなかったからこそ彼は冒頭で

何もかも失ってしまっているのね。

 

きっと実質あんな状態になったのは

それにとらわれすぎて何も見えなくなったから。

 

そう思うと、ある種の界隈への遠回しな批判でもあるのよね。

それは心のよりどころだし、それで解決するのならば

まあ否定はしない。

 

だけれどもそれに固執して周りに迷惑をかけたり

勝手なふるまいをしたり、大事なものを奪うのは

間違っていることだからね。

 

でも、こういう人たちには酷だけど

この言葉は届かんのよ。

大体において「手遅れ」だ。

 

おわりに

最後はちゃんと行くべき場所に行ったことが

よかったなとは思います。

 

あくまでもそれは過去の事実。

過去は変えられんよ。

これは私もそうだ、まあ人に言うと

まじかって言われる過去は送ってきた。

 

でも今のほうが楽しいんよ。

苦しかったことを忘れられるほどにな!!

だから、今に目を向けような。