超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【ただただ、そこには穏やかな時が】カズオ・イシグロ「日の名残り」

なんだか前半日程えらく詰まっている感じがするの。

通院加味ではあるけどね。

まあがんばるさ。

 

 

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カズオ・イシグロ「日の名残り」

日の名残り
カズオ・イシグロ

早川書房 2001年05月31日 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 ようやく…

著者の名前は前々からよく聞いてはおりました。

おそらく読書習慣がそこそこついてきた時代(かなり前)から

聞いてはいましたからね。

 

ですがこのスタイル上、なかなか読書機会には恵まれず

ノーベル賞の受賞報道からもかなり後の読書になってしまいました。

某上中下巻のあるSF小説(新天地では未紹介)もそうだけど

大体遅れて読むのが、私のスタイルですね(笑)

 

感想

心穏やかなまま、読み終えられた…そんな作品でしたね。

大体の作品は結構盛り上がりがあったりして心穏やかじゃなくなったり

先日紹介した本のように読者側がフンガーーー!!になってしまう作品も

あったりします。

 

ですがこの作品は穏やかなまんま、読み終えることができました。

静かな作品というやつです。

まあ似たような感じだと口述で作品を作った某シリーズの作家さんを

思い出しますけど。(これも新天地では未紹介)

 

もはや失われつつある、執事の男性が主人公です。

そんな彼がつかの間の旅をする物語となっています。

 

ですが、メインは彼が執事として勤めてきた時期の回想が

メインとなっております。

彼は間違いなくその当時の時代の典型的な「英国の執事」でした。

職務にひたむきに励み、そしてそうそうたるゲストたちをもてなす

超一流の執事でした。

 

だけれどもその執事がゆえに様々なものを犠牲にもしてきているのです。

職務がゆえに、同じく執事であった父の死に目に会うことはできませんでした。

一応会うことは許されてはいましたが、彼は職務を選んだのでした。

 

そして、その執事を思う一人の女性がいました。

彼女はけなげなんですよね、何とかして彼に近づこうとさりげなくも

大胆な行動にも出るのです。

 

ですが、彼はきっと気持ちはあった(ある描写で実は推測できます)のですが

決してなびくことはありませんでした。

何をしてもなびく、という選択肢がなかったこと自体

彼(スティーブンス)が職務の鬼のような存在だったことが

容易に理解できることでしょう。

 

そして、旅の最後にはその密かに想いを寄せたであろう女性と

再会することとなります。本当に一時の。

 

まあこの部分に関しては答え合わせでもあるんですよね。

おそらく読者が抱いているであろう、この二人はきっと想いあっていたであろう

ということを。

 

だってさ?回想に結構な頻度で彼女が出てくるんですよ!!

思い出にこれだけ出てくるということはさ、恋していたんですよ。

でも、それを叶えることはできなかったわけで。

 

女性側はやはりifを望んでいたのですよね。

しかもそれをくすぶり続けていたわけで。

その描写が静かなこの文章で、唯一波立つ感じでしょうかね。

 

 おわりに

読んだ作品はドラマ化をされた方ではないです。

でも、こっちを読むことができてよかったな。

たぶん文章的にその作品を読んでもおそらく

感じ方は似たようなものだったのかも。

 

読めてよかったな、と思わせてくれる作品でした。

 

おしまい。