超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【彼には疑いを晴らす術はなかった】西村京太郎『四つの終止符』

雪が降っているけど

そんなに寒くないのは何でだろう。

 

 

 

 

西村京太郎『四つの終止符』

四つの終止符
西村 京太郎

講談社 1981年10月

by ヨメレバ

 

 

 

 

無知が招いた悲劇

その事件は病弱の母をなんとかして

支えようとした少年が見舞われた悲劇でした。

 

彼がよかれと思って母に買ってきた

栄養剤にはヒ素が混入されていました。

 

無論、少年は無実を訴え続けます。

しかしながら障害を抱え

孤独であった少年はまともに信用されませんでした。

 

そして、悲しきことに

彼は疑惑から解放される前に

命を絶ってしまったのです。

 

感想

何をしようとしているかはわかるはずです。

そう、デビュー作から最後まで読み通そうという

なかなか途方もないことをするつもりです。

 

まあ飽きっぽい中の人なので

ぬるくお付き合いくださいませ。

 

この作品は彼の魅力でもある

社会派の作品です。

 

何かと2時間ドラマのイメージが

強いですけれども、

こういう作品は印象が強烈なんです。

 

ただしこの作品は出版年代上

現在うかつに書いてしまうと

批判されかねない表現があります。

 

3文字のある言葉(複数)がそうですね。

これは放送禁止歌でも出しちゃいけない

表現の一つとなっています。

 

この作品の事件の容疑をかけられた人は

聴覚に障害を持っていました。

つまりそれは音を聞き取れないので

必然的に交流が制限されることになります。

 

これはこの本通して言われるのですが

そういうことを理解しようとも、歩み寄ろうとも

せず、違うだけで最悪いじめまで起こすというね。

 

私の昔いたいとこの友人にも

聴覚に障害を持つ子がいたから

本当、こういうのを見ると胸が痛むんですよね。

 

警察もその障害ゆえに

彼のことを全く調べようともせず、

はたから犯人としてかかりました。

 

ただ一人、その青年には

信じてくれる女給の女性がいました。

 

なぜならば彼女の弟もまた

その青年と同じく聴覚障碍者だったから。

 

しかしながら彼女の弟は

それ故に、警笛に反応をできず

電車に轢かれて命を落としてしまうのです。

 

ちなみにですが事件は

かなり胸糞な展開をたどることになります。

無論、推測は容易でしょうが

青年は無論犯行には関わっていません。

 

じゃあ誰が?ということですが

この事件で混入できるチャンスは

1ヶ所に限られることになるのです。

 

なお、事件を追いかけることになる

同僚だった時枝と古賀は

古賀のほうがあと一歩のところで真の仕立て人まで

行きつくことはできませんでした。

 

実は時枝があるところに話を聞きに行った結果

この事件に隠れていた

思わぬ悪人をあぶりだすことに

成功しているんですよね。

 

まあ、だれかは分かりますよね…

 

おわりに

1つの感覚がないことが

どれだけつらいのか、私にはわかりません。

 

ただ視覚支援学校(現代風表現)の

教師が言った言葉は刺さるものがありました。

 

言葉を聞くことができないということは

言葉を覚える手段を奪われているということ。

だからその感覚がない子は、文章を書くことが

難しいということも…

 

こういう悲しいことが

本当、未来からなくなりますように。