超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【すべてに背を向かれた青年は…】三島由紀夫『奔馬 豊饒の海(二)』

あさってが何気に悲惨だったり。

寒い中いくという悲劇な。

 

 

 

 

三島由紀夫『奔馬 豊饒の海(二)』

奔馬 豊饒の海(二)
三島由紀夫

新潮社 2002年12月

by ヨメレバ

 

 

 

 

国を憂いた一人の青年が起こした事件

今回の主人公は前作の美男子とは違い

剣道という武にたけている青年です。

 

そして前作の松枝家にいた

途中で離脱してしまう書生である

飯沼の息子です。

名を飯沼勲といいます。

 

そんな彼はる書物に出会って

ある決意を固めるのですが…

 

感想

あまりにも彼は物事を疑うという

要素がなさ過ぎましたね。

本当、あの両親からどうして

こんな純度100%という言葉がよく似合う

純粋のかたまりができたのでしょうか…

 

まあこの両親に関しては

母親も1巻の時点からアレでしたが

この巻でもやっぱりアレでした。

うん、そっち方面がゆるいんですわ。

(どういうことかは各自お察しいただければ)

 

もちろん父親もそれにたがわず。

この父親の存在が最終的に

飯沼青年の心を打ち砕く結果となってしまうんですよね。

 

よくよく考えてみれば

これらの暗殺作戦は最初から破綻も同然なんですよね。

まず、人が集まりすぎというところね。

 

この時点で下手するとあの父親は

気付いていたんじゃないかな。

明らかに不自然すぎますもの。

 

読者は著者の余りにも流麗な文章に惹かれますが

こうやって目の前の本を閉じて

足りない頭を巡らせていくと

まあおかしくね?なわけですよね。

 

実はこの本の紹介のところに

すでに待ち受ける展開は書いているのです。

ネタバレしたくない人は見ないに尽きるのよね。

 

私はネタバレバッチコーイな

奇特な人間なので

どういうことか答え合わせしつつ読んでしまいましたがね。

 

まず親もそうだし、協力してくれるはずの中尉もそうだし

彼が秘かに恋心を抱いていた女性にも裏切られます。

(それは優しさゆえだったけど実質裏切りです)

 

そして、実はその後に勲が対象にしていた

相手は前々からものぐさなところがあったのですが、

しでかしてはいけない場所でものぐさをやらかし

ことがことだったがゆえに新聞に載ったのです。

 

それを勲は見てしまったわけで…

そこから先は分かりますよね。

 

そう思うと、このシリーズって

主人公たちは純っていうことになるのかな?

いや、最初の清顕はちょっと違うか。

ひねくれ者だし…

 

でも想いに関しては純だったか。

あまりにも遅すぎる結果だったけどね。

 

おわりに

この結末部分は著者の死の場面と

重なるものがあるという人もいますね。

もしかしたらこの本の時点でこのような死を

企図していたのかな?と感じてしまいます。

 

著者亡き今、それを知ることは

できないわけですけれどもね…

 

さあ、あと2巻。

無論、読み切りますからね。