超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【鬼はそこにいるんだよ】朱川湊人『鬼棲むところ』

明日こそ行けそうかな。

雨はやみそうだからね。

 

 

 

 

朱川湊人『鬼棲むところ』

鬼棲むところ
朱川湊人

光文社 2020年03月25日

by ヨメレバ

 

 

 

 

人は時に鬼を宿す

人は時に鬼を宿すことがあります。

その理由には様々な理由があるのです。

大切なものを失ったため、

もしくは誤った道に行こうとするものをただすため。

 

ただし、そうでない場合もありますが…

 

感想

1作品を除けばほとんど救いようのない作品と

なっております。

 

除く作品に関しては

あえて鬼に見せかけるという手法を取っています。

 

まあこの作品は鬼になるのは人で

このケースではもともと地位ある人が

鬼になってしまったケースです。

 

ただしその人に関しては表の顔は

まっとうな人に見えるのですよ。

なのでこういった人の「鬼の側面」は

とびきり怖いのです。

 

現実にうちの身内がそうですからね。

まあやらかしている人が悪いんですけど

割と細かに鬼を発揮する私よりも

ずっとずっとおっかない大爆発を起こします。

 

この作品はそんな鬼が結構いるのよ。

まあ中にはとびきり胸糞なやつがあるけどね。

私が大嫌いなR-18でその要素見ると

即閉じにしたくなるやつも出てきますし。

 

鬼のうわさまで立ててやることか!?

と本当に思ってしまいましたね。

やられた側の精一杯の抵抗が

できないという苦しさもその胸糞さを

より増大させてくれましたから…

 

あとは酒呑童子と茨木童子がでてくるお話かな。

ただし最初の部分はその前の段階の

決して美人とは言えない女性の早蛇女という捨て子でしたが。

 

そんな彼女はある日仕事をしていた時に

うっかりお客さんを傷つけてしまうのです。

そこから彼女には鬼が宿ってしまい

血をすすらねば生きていけないある種の鬼へと

変貌してしまったのです。

 

やがてまっとうな生活を送れなくなったときに会ったのが

酒呑童子(6代目)だったわけで。

 

そう、酒呑童子も、ほかの童子たちも

人間なのよ。

中には女性もいたのだから驚き。

 

でも結末はね…

あの伝説通りの展開を迎えちゃうのよね。

お互いに愛し合っていた二人。

だけれども人たちにとっては狼藉を働いていると

扱われた彼らは「敵」でしかなかったんですよね。

 

いわゆるこの世界から排除された

悲しい運命の人間たちだったのに

(一部の童子には奇形もいたりします)

 

うん、何とも言えない。

 

おわりに

すごく救われないな。

親殺しが出てくる作品もあって

気が付いたときには何もかも手遅れだったというね。

 

まあ確かに彼らは諸事情により

いわゆる隔離されていた人たちだったわけで

それ故に何も知らなかったのよね。

 

鬼を宿すことって

必ずしもいいことではないよな。

むしろ悪いのか…

 

 

おしまい