超雑読と趣味と

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【何も知らないのに追われる恐怖】ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』

うん、明日もだよ。

でも頑張れる気がする。

たくさんの元気をもらえた。

それを還元する。

 

 

 

 

ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』

黒いカーテン
ウィリアム・アイリッシュ

東京創元社 1960年02月14日

by ヨメレバ

 

 

 

 

空白の3年半

主人公であるダウンゼントは事故により

記憶を一部喪失してしまいました。

 

しかしながらどうやらこの欠落した記憶の期間、

彼は何かをやらかしていた模様でした。

そのため、突然謎の脅威に

襲われる羽目となり

妻を避難させることに。

 

そしてそれがこともあろうか

とんでもないことをはらんでいたのです。

 

感想

ページ数、とても短いです。

だけれども「何をしたかがわからない」かつ

その空白期間のために謎の存在に追いかけられる

というなかなかおっかない事柄のおかげで

ページ数の薄さが気にならなくなっています。

 

なので初めの方はなんのこっちゃなわけでして

どうしてこんなに理不尽にタウンゼントは

未知の存在に追いかけまわされないといけないの!!

となるはずです。

 

もちろん、それにはきちんとした理由がありますが

それはタウンゼントがあるスラム的な場所に

行ったときに出会うことになる人物の登場まで

待つこととなります。

 

その人物はその期間中に付き合っていた

彼女でした。

ん…なんか訳ありな気がするけど

そこに関しては突っ込まないでおきましょう。

 

そしてだんだんと事実は判明していくこととなり

どうやらタウンゼントの別名義の彼は

あるとんでもない事件に関わってしまっていたのです。

 

なぜ「いた」になっているかは

完全なるとばっちりであるからです。

むろん物語上(おい裏を明かすな)、

ダウンゼントの別側面が犯罪を犯したとは

到底考えられないのです。

 

確かに荒々しさというものは

かつての姿の彼にはあったようですが

それにしても現在の彼の状況からも

(もし成功していたら素寒貧じゃない)

ありえないことはわかるはずです。

 

じゃあどうすれば彼の無実を証明できるのか。

それは一見するとなんだこれ?でスルーしてしまう

ある事柄がヒントだったりするのですよね。

 

なんでこんなことをするの?と読者側は

きっと思われることでしょう。

ちゃんとそれには意味がありましたし

そこから先に起こる絶体絶命な状況も

これがなければ解決はできなかったのです。

 

ちゃんとタウンゼントはのちに

何をしているのかをちゃんと解明しています。

それと犯罪に関してもきちんと実証しているのです。

 

まあ、エンディングはね…

 

おわりに

これご都合主義だろ?とおもうでしょう。

間違いないと思いますよ。

 

でもこの作品はフィクションですよ?

創作だからこそ許される自由なんです。

まあ時にそれでも野暮な作品はお見受けしますが

この作品はまあそういう作品ではないです。

(そういう作品って当たるのかなりまれよ?)

 

なんか結末は寂しかったわね。

でも展開上それも致し方ないか…