超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【人のつながりがあってこそ】須田泰成『蘇るサバ缶』

明日はいつも通り。

また戦場へと向かうのです。

なので今日はつかの間のお遊びということで。

 

 

 

 

蘇るサバ缶
須田泰成

廣済堂出版 2018年03月

by ヨメレバ

 

 

 

 

流通には載せられない、缶詰

かの震災が、石巻の地を襲いました。

その津波は莫大な被害をもたらし

それはこの本に出てくる工場も例外なく

被害に見舞われることになります。

 

被災後は食料に恵まれず、

社長は3日間でビスケット3枚で過ごしたそうです。

(ただし、やせなかった)

 

そんな中時折出てきた缶詰は

被災した人の希望でありました。

 

そして、その缶詰が

それ以外の人たちにも

希望をもたらしたのです。

 

感想

人のつながりの大事さ、というのが伝わってきますね。

この商店街の人たちは困っている人を

決して見捨てたりはしませんでした。

 

むしろもはや出荷できないこの缶詰を

何とかして売ることができないだろうか…

いや、義援金という行為のお礼として

使えないだろうか…

 

そうして始まったのが

なんと22万缶ともいえる

膨大な缶を送り出すという

前代未聞の作戦だったのです。

 

はじめは個人相手だったのでなかなか量を

裁くことはできなかったのですが

だんだんとイベント等でほしいという依頼が

増えてきて、それとともに急ピッチで缶が

洗浄されてほしい人のもとへ行くのです。

 

ですが…この量にはもちろん限りがあるんですよ。

なくなってしまえば資金の提供は

絶たれてしまうことになります。

 

そこで新たなる第一歩、

会社再建に乗り出すのですが…

 

これ驚いたことにね、この会社

肝心のレシピが流されてしまってなくなっているのです。

嘘だろ!!と思うでしょう。

 

ちょっと想像してみましょう。

あの震災は巨大津波が広範囲に押し寄せました。

社長宅も一部やられています。

そして会社は…

 

もうお察しですよね…

管理不足とかいう問題ではないのです。

不可抗力です、どうにもできなかったんですよ。

 

幸いにも1つのレシピのみ残っていたのです。

この商品に関してはOEMの形をとっていたので

奇跡的にレシピが残っていたのです。

(コラボ商品でした)

 

そのコラボ商品をもとにしたものから

だんだんと製品を取り戻していくのです。

 

そして2年後にはついに缶詰工場も…

これは異例の出来事だと思いますよ。

苦労している企業もあるというのに。

 

人とのつながりって正の面をきっちり使えば

何十倍、いやそれ以上も

いいことを運んできてくれるわけですよ。

 

おわりに

この会社の缶詰は、私は鯨の大和煮のイメージが強いです。

ちょっといいお店に行くとこの缶詰、置いてあるんですよ。

冒頭写真に震災後の会社が出てきますが倒れているオブジェが

その大和煮です。

 

あと、これは本当にやめてほしいことですが

ボランティアを承認欲求に使わないでほしいこと

それと会社の主がみっともない嫉妬で

クレームをつけないでほしいこと。

 

そういうものじゃないんだよね。

まあ後者の主はおそらくロクな目には合ってないでしょう。

こういうことを平気でできる会社に未来はありません。

 

今度、大和煮探しに行こうかな。

かなりの年数ここの会社の大和煮

食べてないからね。

 

 

おわり