超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【不思議かつ、なんか怖い】赤江瀑『十二宮の夜』

もう夏は終わっていくね。

暑さを感じなくなるだけでもよいのよ。

 

 

 

 

赤江瀑『十二宮の夜』

十二宮の夜
赤江瀑

講談社 1984年12月

by ヨメレバ

 

 

 

 

人の思いが渦巻いたり…

不思議な作品だな、と感じました。

時に明らかに何らかの「存在」らしきものが

絡むのもあります。

 

それは悪意だったりもするのです。

それと断ち切れぬ思いだったりも…

 

基本的にあまり救いがない

作品ばかりかもしれませんね。

 

感想

この中にね、理不尽な悪意というものが

ある作品が存在します。

 

その作品を読んで強く感じたのは

「理不尽な悪意」というものはえてして

相手を完膚なきまでに

崩壊させる事態を引き起こす、ということです。

 

ここで何かを思った方、勘が鋭いと思います。

理不尽な悪意を向けた大変痛ましい事件が

近年「起きてしま」い、その結果多数の犠牲者が

出てしまったのは記憶に新しいことでしょう。

 

この作品にもある種のそういう悪意を

強く感じてしまったのです。

(お判りでしょうが

この本のほうがはるか前に書かれていますからね?)

 

この物語の主人公は自分の夫がガンに倒れ

看病をしていたがために執筆活動にブランクがあった女性です。

そのために書くという仕事になかなか戻ることができませんでした。

 

他の「書く」(非小説)には関わってはいたのですが

小説となるとかなりブランクが出てしまったようで…

 

そんな彼女は亡き夫のことをテーマに

なかなか乗り気になってくれない己がペンを奮い立たせて

何とか作品を書くことをなしえたのですけれども…

 

始まりはある種「ここから」となります。

その後の出来事がすべてだからなのです。

 

実はその原稿はある事件に見舞われてしまいます。

しかも人為的にやられ、なおかつ…

というわけでして、その後の展開は「お察しください」

 

読み終えて真っ先に件の事件が思い浮かんだんだ。

確かにあの事件の例の人はいろいろとこじらせる要素はあったね。

だからこそこういう理不尽すぎる悪意に甘んじてしまったんだと

思うんだよね。

 

理不尽な仕打ちは人を歪曲させてしまうのよ。

だからそういう人に救いの手を…だけどそれをやると

必ず「ずるい」とかいう人たちがいるのよ…

 

もうこういうのは言いたいのよね。

「それはお前の何に影響するのだ?」と

ただのストレス発散だったらあまりにゲスよ、

逆に良くないことしか引き起こさんからやめておくことよね。

 

そんなことを思ってしまいましたとも。

あら、今回はこれだけの感想となりそうですね。

でも少しだけ触れてこの感想文を締めましょう。

 

暗い作品が多いですが、

中にはナニガオコッタンデス?な作品もあります。

 

いわゆるネジが吹っ飛んでるレディーが起こした

ヘンテコな物語である「闘牛場は影」

あの女性はどこかに頭をぶつけて調子でも悪かったのかしらねぇ?

 

おわりに

この1+ちょっとだけにとどめますが

他の作品もなかなかゾッとする感じです。

他人を使ってウソをついた女性の因果応報なお話もありますし。

 

人って怖いよね。

まったく。