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乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【権力が立ちはだかる】池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

明日は行く予定!!

体調を言い訳には絶対にしない!!

 

 

 

 

池井戸潤『下町ロケット ガウディ計画』

下町ロケット ガウディ計画
池井戸潤

小学館 2018年07月06日

by ヨメレバ

 

 

 

 

その技術は命を救う…?

佃製作所にある依頼を持ち込んだものがいました。

しかしながらそれはジャンル外というか

未知の領域である医療に関わるもの。

 

しかも医療系はミスをしてしまうと

時に訴訟問題を抱えることになります。

当初は金銭面の折り合いから

拒否していました。

 

しかしながらその関係者である男は

自分の娘を心臓の病気で

亡くしていたのです。

 

そこに心を打たれた佃航平は

開発に協力するのですが…

 

またもやとんでもない敵たちが彼らに

立ちふさがったのです…

 

感想

今回も骨太な作品でしたね。

どうしてもこういった先進技術、ましてや

ドル箱(生命医療に対してその言い方は疑問ですが…)と

なりうる技術に関しては様々な欲望が

えてして渦巻くものです。

 

現実に所詮中小企業でしかない佃製作所は

圧倒的権威、そしてブランドのある

サヤマ製作所に押されてしまうこととなります。

 

だけれども読んでいる私たちは気づくことでしょう。

この企業はなんかきな臭い部分がある、ということに。

 

なぜならばこの社長たる人が

やたらNASAにいた、ということをかさに着るからです。

それがどんだけえらいんだかは私にはわかりません。

 

そういうのを至上主義にする人たちには

さぞかし輝いて見えるのでしょうね。

 

だからこそ帝国重工でこのNASA君(笑)を気にかけていた男は

比較的帝国重工でもまっとうなものの見方のできる

財前に最後の最後までかみついてきます。

 

だけれども、まだこの巨大企業は上がまともだったので

その男のNASA君への異常なひいきぶりに苦言を呈したのです。

そして、財前が提示していた案が最終的には

採用されるんですよね。

 

あ、今回もいわゆる決裂の場面はあります。

彼の場合はあまりに若かったんだと思いますね。

彼も結局はその「経歴」を過信しすぎたために

ある罪を犯したのはいいものの、その先で躓く羽目になってしまいます。

 

そのため、実はサヤマ製作所には内部告発者がいたのですが

その人の言っていたおかしな事実に気づけなかったのです。

目先の欲を手に入れようとした結果のまやかしにね。

 

そう、真の名誉をつかむには並々ならぬ努力

時間が必要なんですよ。

ところは人というものは強い一方で弱く、醜いんです。

だからこそNASA君こと椎名のようなやつも出てきますし

医療の現場では権力しか興味のない貴船のような人間も出てくるのです。

 

すべての人が「善」であればいいことですけれどもね。

でもそんなわけがないのが人間の生きる世界ですから。

だけれどもせめて、もう少しだけでも「きれいな世界」

が現実でもあればいいんですよね。

 

それだからこそ、素敵な終わり方を迎える

こういった作品は欲されるのですとも。

 

おわりに

今回のプロジェクトは若手たちが頑張るんですよ。

もう一筋縄ではいかなくてそりゃあ悶々とするときも

いっぱいあるわけ、投げ出したくもなるわね。

 

でも彼らのところには、その技術を待つ

未来をつなげるであろう子どもたちの写真があるの。

これは、その技術が完成しなければ、途切れちゃうのよ。

 

こういうのって、損得の埒外なんだよね。

その外側にあるものは、時に見捨ててはいけない。

そう思うんだ。