華麗に明日も行く羽目になる。
休んではいけないらしいよ?
七緒のために 講談社 2012年10月
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その子への違和感
初めて出会った子は不思議な子でした。
女子高になじめずに転校した来た雪子の前に現れた
いろいろと不思議な雰囲気をまとわせた少女。
彼女は雪子がうらやむようなものを持っていました。
しかしながら、違和感を覚えたのです。
そこに何か現実を感じないのです。
そしてそれはやがて…
感想
この作品のほかに、もう一つ作品があり
私が推すほうはそちらの作品の方です。
だけれども表題作がこちらなので
触れないわけにはまいりませんので…!!
この作品、チクチクと刺さるんだよねぇ…
彼女がどこか学生生活になじめないからこそ
その違和感に気づいてもなかなか七緒という
ミステリアスな存在をきれなかったわけでしてねぇ…
多分ね、勘の鋭い読者ならば
七緒の突拍子のない言動の時点で
この子が嘘をついていることが理解できるのよね。
まあ、雪子も実は彼女の部屋に入った時点で
気が付いていたんだわ。
だけれども、関係性が壊れるのを恐れて
結局切ることができなかったのよ。
あのゲレンデでの凄惨な出来事が
起きるまでね。
これって共依存の関係なのよね。
じゃあ雪子は周りに助けを求めろと思うでしょ?
いや、よく読んでみれば、彼女は大人に対して
強い不信感を抱いているのは気づくはずよ?
特に両親はね。
もう本当こういう両親はふ…(やめろ)だと思うんだ。
区切りつけてやれよと小一時間。
結論から言えばきっと雪子もそのうち七緒と同じ運命を
迎える気はするんだな。
でもそれは私たちの心配の埒外だ。
一番刺さったのは「水の花火」
この後の作品な。
メガネの草野君と私と、大好きだった友達と。
大好きだった友達はある理由によって
もうこの場にはいなくなっています。
あえて本中ではその描写は主立っては避けていますが
●●●の被害者になっています。
それ故に彼女はいなくなら「ざる」を得なかったのです。
これに関しては草野君も彼女も悪くはないです。
現在の世の中でも必然かもしれません。
だって一定数この手の事件があると「バカみたいな論」を
平気で吐き出す輩がいるものでしてね!!
そして唐突に聞かされる
トランペットが得意な草野君の
ある秘密。
それは彼女にとっては衝撃でした。
だけれども…
ああ、この気持ちはわかるのよね。
うれしいけれども…だけど!!というな。
私が個人的に刺さったのは
このいなくなった友人のところ。
うん、同じような経験してるんだ。
(内容はちがうよ!!)
もう二度と会えないこの友人な。
姿を消さざるを得なかった理由も
理解してるんだけどね。
でも、一言別れの挨拶は欲しかったぜ。
この作品は最後のもどかしい描写が
秀逸なんだよ。
もうな、素直になりなさいって。
おわりに
これはね…体験した人じゃないと
理解はしがたいかもしれませんね。
特に後者に関してはねぇ。
どちらも悪くはないかな。
ただし結構表題作は共依存関係が目についたので
苦手な人は苦手だろうねぇ…
終