超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【もどかしいその関係よ】近藤史恵『ふたつめの月』

 

諦めが悪い、実に悪い。

またやったぞ、こいつ。

 

 

 

 

近藤史恵『ふたつめの月』

ふたつめの月
近藤史恵

文藝春秋 2007年05月28日

by ヨメレバ

 

 

 

 

2年後のお話。

あの心温まる物語が戻ってきました。

 

しかしながら久里子には災難が降りかかった模様。

せっかく契約社員としては入れた会社を

ものの2か月で解雇になってしまったのです。

 

しかもどうやら自分が意図しない方向でやめていて…

不信感を覚えた彼女は

また出会えた「あの人」に相談をします。

 

感想

この作品もよかったなぁ…

さすがに第一話に関してはちょっとおっかなかったかな。

 

人というものはいつ何時変貌してしまうかわからないという

末恐ろしいものを感じましたね。

だけれどもその人は重荷に感じたんだろうな。

だからこそ、自分をよく見せたいからそんな行動を…

 

でもいい迷惑なんだよね。

プライドを結局優先させていい子したんだからな。

 

で、一番嫌っていたと思われていた人がいるけど

その人は案外それをわかっていたようで。

人ってその場だけじゃ本当にわからないということ。

 

第二話はね…痛いほど気持ちがわかるんだ。

別の理由のほうも彼女を変えてしまったのもあるけど

最初の理由ね。

 

私は今はもうゴリラで体重も多めだ。

だけれども昔々、私はガリガリだったんだ。

ストレスもあったけど、食が無茶苦茶細かった。

 

太るのは怖かったね。

だから気持ちはわかるんだよ…

 

そう、この話に出ている子は摂食障害だったんだ。

それ+乙女の事情というのがね。

 

でも久里子はそれを知っても彼女を抱きしめてあげた。

本当は恋する男子の邪魔をしてきた彼女なんて

嫌だったのにね。

 

その気持ちをきちんとわかってあげられる久里子は

確かに夢はあきらめちゃったけど

誰にも負けない、優しさを持っているんだよね。

それはある事情で闇を持った弟の信にもね。

(でも安心してね、ちゃんと彼は前を向いてるから)

 

最終話はここだけシリアスね。

実は赤坂老人が事故に巻き込まれちゃうの。

なぜ巻き込まれたかは後半で明らかになるとともに

久里子にあるとんでもないことをさせた理由も明らかになります。

(これは一応犯罪に該当します、バレなくてよかったさ)

 

どうやら捜査をしていた石坂は

その真意を悪くとっていたけれども

私は違うな、と思うの。

 

実はその真相には優しさも込められていたからね。

そんな優しいことをする人が

そういうのをネタに…はあり得ないと思うんだ。

 

おわりに

この作品のもう一つの楽しみ方は

弓田くんとの関係性です。

彼氏になる前もまぁまぁ戸惑いがあるけど

なったらなったでも大変なことにね!!

 

実にそれがもどかしい。

だけれども恋って悩むんだよな。

まあそんな時期もあったね。私も。

 

ただし立ち位置上もうそれは捨て去った。

その経験は絶対後悔はないんだよな。

 

最後にこの作品で赤坂老人が言っていた素敵な言葉

勉強したことが役立たないことはない

 

これは言える、いわゆる高度な学校に行った時のそれは

今に役立ってるもの。

(専門書関連でな)