超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【親子の難しさ】村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』

 

あ、有酸素の日が増えてくれたねぇ。

よいことだよ。

 

 

 

 

村上春樹『猫を棄てる 父親について語るとき』

猫を棄てる 父親について語るとき
村上春樹

文藝春秋 2020年04月23日

by ヨメレバ

 

 

 

 

父という存在

私は残念ながら、この関係性に関しては

もうない扱いしております。

その理由は一切述べることはないでしょう。

(いろいろなところで察することはできるかもね…)

 

著者は自分が文章を書く立場となって

だんだんと関係性が悪化していく父を振り返るために

このような作品を書いたのかもしれませんね。

 

なお著者の父親は90歳でがんの転移と重度の糖尿病により

この世を去っております。

確かに病魔には襲われてしまったけれども

思考に関してはしっかりしていたそうな。

 

運命というものは本当に過酷なものです。

本来は僧職関係の人は兵役がその学習期間中は

免除されるはずでした。

 

ところが…その手続きがされていなかった模様で

在学中に召集がかかってしまうのです。

無論、否応なしに戦火へと巻き込まれていきます。

 

どうやら壮絶な隊とは別の隊にいたようですが

あまりにその部隊が印象的で

なおかつ血なまぐさい出来事があったからこそ

そっちで脳みそが覚えていたのかもしれませんね。

 

そこの経験や、行われた行為は

それはそれは悲惨なものです。

やっていることは殺人ですからね…

 

その殺人に慣れさせるために

恐ろしいことをさせた、という記述もあって

言葉が出なくなりました。

 

そして父親はその後も召集がかかり

なんと最初の召集と合わせて

3回も兵役に就いたのです。

 

その中の2回目が印象的ですが

その事実に関しては実はつじつまが合わないことになっており

どうして一番危険な戦線に入る前に

兵役を解かれたのかが謎のまんまになっているんですよ。

 

どうやら上官に気に入られたともされていますが

何しろ混乱の時期ですからね…

どうなっているのかは謎です。

 

そして戦後のお話ですが…

著者のエッセイをある程度読んでいればわかるのですが

著者は残念ながら大学の勉強は本当からきしでした(笑)

興味のないことにはとことん興味を示さない…

あれ?どこかにもそんな人いましたねー…

 

そのために学べる時期に学ぶことのできなかった彼の父は

苦い顔をしたのは想像に難くないですね。

でもね、時代はその時とは違うからね…

 

うん、近い関係だけど、しょせん他人。

 

おわりに

この本には素敵な言葉があります。

 

それぞれの時代の空気をすいこみ その固有の重力を背負って生きていくしかない

(63ページ)

 

これなんだよね。

私の場合はただひたすら、

目の前の壁を蹴り飛ばしていくのみ。

粉々になるまでな。

 

おしまい