超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【終わりは、確定。】アンナ・カヴァン『氷』

 

昨日とは打って変わって涼しいわね。

ちゃんと今日は動く格好フル装備で行くわ。

アームカバーではなくて上きちんと着ていきます。

 

 

 

 

アンナ・カヴァン『氷』


アンナ・カヴァン

バジリコ 2008年06月

<
by ヨメレバ

 

 

 

 

少女と、世界の終わりと。

どこまでも救いようのない世界。

戦争はありとあらゆる場所で起き、

天変地異も起きてありとあらゆるところが氷で覆われます。

 

どうあがいても差し迫ってくる世界の終わり。

一人の男はなぜか少女を追っていました。

だけれどもその少女は一筋縄ではいかなかったのです。

 

感想

これって世界の終わりを表現しているけれども

おそらくある「状態」を世界で表現したらこうなのでは?

と私は勝手に解釈しております。

(あくまでも個人的な感想よ?軽く聞いてね)

 

解説やあとがきを見ればわかることなのですが

著者は長年日本ではほぼ流通しないあるものの依存者でした。

(海外から来た人がこれで逮捕されることはまれに)

 

それは少し調べればわかりますが激烈な効果をもたらす代わりに

その効果が切れた時の症状は最悪だといわれます。

 

なんとなくその症状が少女の激しさと

合致するような気がしてならないんですよね。

とにかく彼女はどこまでも素直ではないですし

主人公である男が追いかけて近づいてきても

ひねくれたセリフをもってして拒絶するのですから。

 

そう思うと長官に関して位置づけも何となく

違った風に見えてくるんですよね。

 

出版年的にも確実にそれに耽溺している時期ですし

それによる影響かの描写は書けたのではないの?

と私は思っているので。

 

この途方もない終わりゆく世界の旅に

1回だけ、少女が晴れ晴れしい姿でいる描写があります。

それはきっとやつという魔物が消えた「一時の安らぎ」

だったんだと思いますよ。

 

そして、もう1回そういう描写があります。

比較的素直な彼女の描写。

ただし、いってしまえばその部分は終盤なので

あとはお察しください何ですよ。

 

そういう視点でとらえると、なるほどと思えてきて仕方ないんですよね。

あ、そういう視点抜きでもこの作品は

滅びゆくものの美しさを感じる作品なんですけれどもね。

 

おわりに

実はこの作品はあとがきも秀逸で私が読みたいと思っている

あるレーベルがなぜ消えたかの解説も入っていました。

(ちなみに彼女の本はこのレーベルで元は出ていました)

 

そのレーベルは今はキャラクターもので世界各国の人を

楽しませているところです。

私も好きですよ?

 

そんなわけで、なかなか衝撃を受けた作品でした。

才能はそれで押さえないといけないほど

溢れすぎてたんでしょうね…