超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【栄華と衰亡】ゾラ『ナナ(下)』

 

あ、め!!

明日降らないでおくれ!!

何とかしのげるけどかなーり困る。

 

 

 

 

ナナ(下)
ゾラ

新潮社 1992年09月

by ヨメレバ

 

 

 

 

男を虜にする鬼

まさにこの言葉がぴったりでないでしょうか。

この状態になる、いわゆる覚醒(?)するのは

後半にかけてなのですがその文章力たるもの

とにかく凄まじいのです。

 

その代わり注意点として前半に

ナナが恋した男がはずれで

いわゆるDVと共依存の描写が出てきます。

苦手な人は本当気を付けてください。

(現実私は顔が青ざめました)

 

感想

なんだろう、文章がすごい人の文を見ると

圧倒されてしまうんだよね。

 

確かに昔の作品なので読みづらい感は否めません。

なおこの作品は救いであろうといわれる

光文社の古典新訳のところでも扱われていません。

(短編集のみ扱いあり)

 

これほんとうもったいないんだよね。

何かと春をひさぐ(隠語で書くね)人たちの作品って

すごく読むのに勇気がいるのだけれども

この作品はそういう場面のそういう描写は

決してえげつなくは書かれていないの。

 

そういう人が主人公だからあれなのかと思ったけど

本当いい意味で裏切られたなと思っております。

 

もうこの本は後半ありきの作品といってもいいと思うんだ。

まるで水を得た魚のように女性という強みを

男に対してモロにぶつけていくの。

 

その威力たるや男は一切太刀打ちできず。

瞬く間にナナに何もかもを吸い尽くされて

すってんてんにされちゃうの。

 

そんな彼女にも実は唯一の良心はあったのです。

たった一人、彼女を本当に愛した男性がいました。

最初からひとめぼれした、あの青年。

 

しかしながら彼は、かなわぬ恋だとわかったとき

己が胸にナイフを突きつけ、自殺を図ってしまいました。

 

それがナナの心に深い傷を残し

彼女は姿を消してしまいます。

 

ちなみにここからもぜひ読んでほしいところ。

この場面に関してはきちんと読んでほしいところなので

私からは仔細を語るのは控えたいと思います。

 

なんだろうね…どんな人にも

等しく滅びる日というものは存在するんだけれども

それは、あのナナですら同じなんだな、と。

 

おわりに

この作品はどうやらシリーズもののようで。

単体でもこれだけ面白いんだよね。

だからこそ新訳で読んでみたい作品。

 

確かに彼女は悪女だったよ。

たくさんの人をもてあそんだ。

ただし、ジョルジュへの愛はなにかしらあっても

本物だったんだよね…

 

おしまい