超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【毒はあるけど、惹かれるの】岸田今日子「ラストシーン」

明日は買い出しのみになるのかな。

筋活…するかな。

さほど雪も降らずに終わりそうだし。

 

 

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ラストシーン
岸田今日子

角川書店 1989年01月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 その言葉は、ちょっと痛い。

ショートショート集なのですが、そのどの作品にも

何とも言えない雰囲気と、毒が込められています。

何だろう、読み終えた後になんかゾッとしたり

うわああ、となるような感じの毒。

有害じゃないところは著者のやさしさなのかな。

 

感想

今は亡き有名女優さんですね。

彼女は幼いころから本の虫だったと聞きます。

昔、私が子供の時分に読んだ歴史人物かなんかの漫画本で

巻末に出てくる有名人として彼女が取り上げられていました。

(このシリーズでは星になってしまったあの有名歌手の方も

出てきていたりします。名前を間違うとその子をボコボコにするほどの

きかんぼうだったそうで)

 

なのですごく印象に残っていたりするのです。

ムーミンの方ではなくて、本の虫で

本を取り上げられてしまうと薬の注意書きまで読んでしまう

彼女のことを。

 

作品としては、ダークでちょっと怖い感じでしょうか。

何だろう、背筋がちょっと寒い感じかな。

その最たる作品としては、どこかで見たことのあるような物語が出てくる

「セニスィエンタの家」があるのです。

 

元となった(?)有名な童話ではその後のお話は

出てはきません。

でもこの作品ではその後らしき描写が出てくるのです。

 

これはフィクションですが、とても心に突き刺さるものがありました。

人を貶めたり、自分たちだけがいい思いをしようとした者たちの

因果応報の末路とも取れますからね。

 

その物語では、今回主人公が合うことになる人物は

ふとしたことである人たちのその後を見ることとなるのです。

もうそれは目も当てられないことに。

 

そう、虐げた人は幸せになりました。

虐げた彼女たちらは、自らの体を犠牲にしたあげく

不具になり、あげく制裁を受けて体の自由を失いました。

 

そしてそれを許していた親も、みじめなものになりました。

そう、悲しきかな、語られない先はこんなものでしょう。

そして主人公はそんな彼女たちに

残酷な言葉を投げたのです。

 

そう、そうされてもおかしくないことをしでかしたのです。

いわれてもね…

 

ほかの作品には

これまた有名な作品を改変したものがあります。

そう、なんでそれをしなかったの?と思うことを書いちゃってるの(笑)

元々の諸悪の根源はそれなのになぜ亡き者にしなかったのやら。

着眼点がすごいなとこれは思いました。

 

 おわりに

ショートショートなので読みやすいですし、

この作品のページ数もさほど多くないので

サクッと読めてしまいます。

 

でも内容が濃いんだよな。

他にもカラスの恨み的なものもあるけど

あれおっかないんだよね。

何かとごみとかあさるからどうしてもいい目では見れないけど

それでも乱暴な行為はしちゃだめだよね。

 

おしまい