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【彼女は眠り、忘却する】西尾維新「掟上今日子の備忘録」

明日は天気が良いみたいです。

うん、何とか明日は動いてみる。

 

 

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西尾維新「掟上今日子の備忘録」

掟上今日子の備忘録
西尾 維新

講談社 2014年10月15日 

by ヨメレバ

 

 その探偵は…

久しぶりに彼の作品を読みましたね。

実は旧サイトで別シリーズを取り上げた経験があります。

どうやら去年完結した模様なので機会があったら最初から

読み直してみようとは思います。

 

今回は「記憶が眠るとリセットされる」探偵が出てくる

ユニークな作品となっております。

 

感想

記憶がなくなってしまう…と聞くとそれじゃあ探偵としては

役立たずじゃないか、と思うことでしょう。

 

本文中にも頻出するように

彼女は記憶をねむってしまうとなくしてしまいます。

その性質を逆手にとって犯行の露見を阻止しようとする人もいます。

 

現実に1話目ではそれを悪用(睡眠薬使用)で

今日子は記憶を消されてしまいます。

ですが、それでも彼女は事件の真相をつかむことができているのです。

 

なぜできるのか、というのは

最後に出てくる事件の後半で明らかになります。

 

それはある多作な作家の謎の死を解明するというものだったのですが

亡くなった作家が何を思っていたかを知るために

とてもじゃないけれども時間のかかることをするんですよ。

 

実はその時に眠ったら記憶がアウトの

原則を極限まで遅らせる作戦をとるのです。

ただし、その遅らせた期間がまあとんでもない。

おいおいおめーら死んじまうぞのクラスですよ。

 

で、その遅らせる作戦の補佐役として

登場したのが我らが厄介君なのであります。

ありとあらゆる手段(まあ事案ギリギリのものもあり)で

今日子のパワーを活かせるようにするのです。

強制的にね。

 

でも、それは限界が訪れて

今日子にも不可抗力の波が襲うのです。

それは唐突に表れて、

ある種のラッキーな場面に出くわすことになるのですよ。

 

でもね、厄介君。確かに驚いているようですけど

どうも冷静なのは気のせいではないですよね。

つまり彼は今日子氏のそういう姿を…

あらあらまあまあ。

 

でもそれを見たと同時に彼女の涙ぐましい努力を

見ることもできるのです。

そして、記憶は確かに失うのだけれども

実は失わないものがきちんと存在するんですよ。

 

たぶん、これから出てくる作品も

なんとなくその「失われないもの」がキーになるような気がするのです。

今回は残念なことに(?)その経験に関しては

事件の真相部分ではなくて

厄介君に対する印象にいかされた模様なのですが…

 

 おわりに

どうやらこの作品はドラマ化されていたみたいですね。

感想文の某所にもその旨の表記をちらほらと見かけました。

こういうとがった設定の作品は映像化しても映えますからね。

 

つくづくこの方の作品は人物名もユニークだけど

物語設定もユニークですよね。

それだからこそ、読者が多いのかな。