あたりめのある生活。
ローカロリーでたんぱく質をとれるよきやつ。
明日はとっても素敵な日。
トーマス・クックの旅 講談社 1996年06月20日
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はじめに
今、新聞の折り込みを見たり旅行サイトを見たりすれば
当たり前のようにパックツアーが掲載されていたりします。
私はそういうのにあまり興味のないインドア派なのであ、広告ある!!といった
薄い反応なのではありますが、内容としては食をその旅の看板にしたりと
なかなか工夫が凝らされているものだな、と感じます。
表題の人って、何者?
気になるところですよね。彼はいわゆる、このようなパックツアーの祖といっても
過言ではない人物です。ちょっときっかけは特殊なのですが
団体旅行割引、というのを生み出した人でもあります。今ならば当たり前のように
あるプランなのですが、これは彼なしには起きえなかったということです。
では、感想行きましょか。
人によってはこの会社の名前はあるニュースでピン、と始めてきたかもしれませんね。
まあその事柄に関してはこの記事の補足程度にでも述べようかとは思っております。
クック社の創設者であるトーマス・クックは鉄道を用いた旅を考案した
まさに近代ツーリズムの父とも呼べる人でした。
なぜ彼がそこまで「旅」というものに固執したかといいますと、
彼はいわゆる禁酒主義者でした。
ここでなぜに禁酒主義が出てくるの?と思われることでしょう。
それは当時のイギリスの人々の飲酒事情を知れば
なんとなくうかがえるかもしれません。
なぜならば、今ではまあまああり得ないとんでもない飲酒事情だったからです。
今の日本、諸外国の法律では年齢の際はあろうとも明らかなる小児への
アルコールの提供は法律で禁じられています。違反したら、犯罪です。
ところがですよ、そんなのがない、無法状態な時代があったわけです。
今では全く考えられないことですよね。
その時代にはなんと、いわゆる児童年齢の子が当たり前のように飲酒していたのです。
それは親に頼まれたやつのついでじゃないの?と思うことでしょう。
―それが必ずしもそうじゃないんですよね。「意識して」摂取していたのです。
今では本当に考えられないお話です。
その飲酒に関しては大人に関してもお世辞にもいいとは言えませんでした。
職場に当たり前のようにお酒がある環境、そしてライフスタイルに高アルコール環境が
平然とある環境…
それが「いい」とはいいがたいものがありますよね。
飲酒のみの生活を変えたい、それがために「禁酒」という集いを介して
鉄道旅行というプランが練られたわけなのです。
当初はどこの鉄道会社にも渋い態度をさせられていましたが
クックの仕事の腕がだんだんと評価されていき
鉄道会社までもが協力していくことになるのです。
その地位を最たるものにしたのは万博でしょうか。
正規の方法で入場するのは庶民にはどだい無理だったのですが
日によって格安で入ることのできる日があってそれを狙ったプランで
クックは成功を収めることができたわけで。
だけれども、出る杭は…というのはどこの国でもあるわけでして
だんだんと国内で旅行業を経営していくのが難しくなっていって
国外をターゲットにしていくんですよね。
だから意外なことに、この旅行というのは「趣味の新たな1ジャンル」という形、
お酒に変わる娯楽だったわけなんですよね。
それと差別がまだ厳しかった女性への安息の時間としての旅。
その差別からまったくもって解放される「異国の地」での彼女たちは
そりゃあそりゃあウーマンパワー全開で環境がきついところでも
順応してしまうんですよね。女性は強しだよ。
後半では、その息子も出てきますが、父親とは違った経営方針でした。
彼の場合は庶民を対象とするかは、いわゆる上流階級向けの旅行を紹介していました。
その中にはいわゆる王室も絡んでいたり、国家単位での紹介もあったそうな。
ただし、後者に関してはどうも利益面に関してはトントンだった模様で
あまり実入りは良くなかったそうね。予想外のことがありますからね。
動く単位が大きいとなると。
ン?と思ったでしょう。
この会社はいわゆるトーマス・クック・グループというところです。
あれ、聞いたことがあるよ!!と思った方、鋭いですよ。
残念ながらここは2019年9月に破産申請がなされてしまいました。
実はクックの時代にも一度、旅行業のかなめが使えなくなり
破産しているのですがまたもや歴史は繰り返されてしまいました。
その原因にはもう決定的となっているEU離脱も原因の一つだった模様なのです。
(参考リンク:Wikipedia内「トーマス・クック・グループ」)
こういうのを見るにつけて、時代というのは変化していくものです。
ネットが当たり前になっていくと、それについていけないところは
排斥されてしまうのかもしれませんね。
おわりに
なんか悲しい形になってしまいましたね。
だけれども、この会社が残した偉大なる記録は残るのです。
最初に現代の旅行を成立させた会社、として。
それはまごうことなき事実ですので。