超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

大江志乃夫「バルチック艦隊」

禁酒生活が続いています。

何気にある腸内細菌はいい感じに作用しますな。

続けていきますよー。

 

 

f:id:misasaru:20191216092739p:plain

 

 

大江志乃夫「バルチック艦隊」

バルチック艦隊
大江志乃夫

中央公論新社 1999年05月 

by ヨメレバ

 

 

 

 バルチック艦隊ってなんぞや?

おそらく、名前だけは聞いたことがあるのではないでしょうか。

歴史とか正直疎いですが、名前は一応知ってはいます。

では、どんなのかといいますとね…

 

ロシアないし旧ソビエト連邦海軍のバルト海に展開する艦隊を指す。

 

日本においてはバルチック艦隊という呼び名が広く定着しており、またこれは、日露戦争の際にロシアが編成した「第二・第三太平洋艦隊」のことを指す場合も多い。すなわち旅順港に封じ込められた極東の太平洋艦隊を増援するために上記のバルト海所在の艦隊から戦力を引き抜いて新たに編成した艦隊を指す   ー引用元:wikipedia内「バルチック艦隊」より

 

 といった具合でしょうか。

日本国外ではバルト艦隊、バルト海艦隊と呼ばれるそうですよ。

 

 

それを踏まえて…感想!!

よく言われる言葉というのがあります。「歴史なんか学ぶ意味があるの?」

恥を忍んで言いますが、私も学生時代、そう思った一人で割と最近も

そう思ったことを正直に懺悔させていただきます。

 

だけれども、私のブログにあるような何を読むかは全くわからない

当てもない本の旅路に身をゆだねるようになりますと歴史、というものの面白さを

感じてくるようになります。

 

特に時代小説とか歴史小説を読みますと歴史の知識があるとないとでは

面白さに差が出てくるものなのです。

実はこの作品を読む前にかの名作家、司馬遼太郎の「菜の花の沖」を読んだのですが

ほんのちらりなのですがその本編の前に関係する人物が出てきており

ちょっとおお、と思うことができました。

 

さて、本編へと触れていくことになりますが

なぜにロシアは極東に向けて艦船を出していこうと考えたのか?といいますと

それはひとえに鉄道建設という大きな目的があったからです。

 

ただし…ロシアの地はとてつもなく広いですよね。

世界地図をぼーんやり眺めてみますとそのだだっ広さは果てしないものです。

そんなところには時から破時まで、鉄道建設をするとなると

その人というのはどんなものになるでしょう。

 

ええ、そこには捕虜が使われたんですよ。捕虜の扱いはご存じですね?

まあまあお察しな扱われ方です。命が1つ、また1つと消えていくのです。

もののようなごとく。

 

そのためにこんなおっかない言葉が出てきたのです。

「枕木一本に一人の死」

このたとえは大袈裟ですが実際に鉄道1㎞敷設ごとに

10人以上の命が消えたとなると…鉄道は血にまみれているんですよね。

 

ただし、そこからはロシアは本当に苦難の連続でした。

人間面のトラブルで本来うまくいくはずであろう計画もことごとく

悪い舵切りへとチェンジになりましたし

バルチック艦隊というのが悲劇の道をたどったのは

兵装の遅れともいえるのです。

 

いわゆる世界の艦船の流れにロシアはついていけなかったのです。

そして日本との関係悪化によってもう戦争は不可避になってしまったのですが

まともに戦える艦船がないときたのです!!どうあがいてもダメだよこれ…

 

それをかき集めるためにほかのところから急遽、戦地に艦船を

招集するのですがその道のりもグッダグダもグッダグダ。

場所が場所だったのでもう遠回りしかできんのです。

もうその時点で負けしかありません。

 

そして、もっと運が悪かったのは、日本軍には

ロシアが知らないような秘密兵器を持っていて

それによって完膚なきまでにぼっこぼこにやられてしまうのです。

遠回りで救援に駆けつけてもこれだようわーん。

 

でもこの本の一番いいところはここじゃないよ。

この本を読むにおいて、一番読んでほしいのは

終章なんです、終章ですよ。

ここでは日露戦争後の日本のたどった道が書かれています。

 

確かに日本は戦争には勝ちました。

でも、私たち日本がたどった道はわかりますね。

第二次世界大戦での敗戦です。

バルチック艦隊にやったことを今度はアメリカに返されてしまうのです。

 

なんでそうなったか?というとダメな体質を抑えてくれる人事が

ことごとく消え去ったのと、まともな人でさえ、

歴史的に誤りを犯していることなのですよ。

中国関連のことがここでは手厳しく批判されています。

 

失敗は歴史においていくつもあります。

それを読み解いていくと、これからどうすればいいの?というのが

少しは見えてくるのではないでしょうか。

 

おわりに

最近、歴史を読み解いていくのも面白く感じてきました。

高校の時は暗記する厄介なもの、と思っておりましたが

その縛りがなくなった今、歴史は学ぶことが多いもの、ととることができます。

ふしぎなものですね。

 

おしまい!!