超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【彼は早すぎたんだね、その時代には】板谷英紀「銀河鉄道をめざして」

久しぶり。

常駐しているゲームの連打機能が死んでいたのでメンブレしてました。

使えるんだけどさ、そうだけどさぁ!!不快なの!!

 

 

f:id:misasaru:20191216092739p:plain

 

 

板谷英紀「銀河鉄道をめざして」

銀河鉄道をめざして
板谷英紀

筑摩書房 1985年02月

by ヨメレバ

 

 

 

 

彼は燃えるように生きていった…

若くして亡くなったとは聞きました。(37年の生涯)

だけれどもどうしてそうなってしまったか、というのは

あまり触れられないことが多かったので

この本はすごく良いものとなりました。

 

あまり知ることのできなかった彼の一面。

ちょっとスットコドッコイな面もあったのはご愛敬。

(泥のついた長靴で校舎を歩いて怒られるとかね!!)

 

感想

彼は…不遇だったと思うのです。

なぜならば作家としての側面もそうなのですが

農業を伝える人間としても。

 

その当時の農法はまあお察しです。

その中で彼は最新鋭の技術を教えて、広めようとしました。

 

それがいかに困難かは農業という枠組みから

はずれても理解は容易だと思います。

たとえどんなに基本的なものを教えようとも

長らく根付いてしまっているルーティーンを変えるのは大変だということ。

 

それとこれは今現在も変わらないのですが

人の嫉妬は醜い、実に醜いのです。

おそらく根底には嫉妬もあったのでしょう。

そういったものを理解できるという才能にね。

(でも実は賢治は研究職を「同じことの繰り返しは嫌だ」で

断念しているんですよ)

 

なので彼が行っている行動をことごとく邪魔する人が

いて、その妨害行為に悩まされたといわれています。

本当、この国の国民性はいつまでたっても変わらない…

それはそれ、これはこれ。をどうして考えられないのか…

 

この行動に出たときには彼にはすでに陰りが見えてきていました。

やがて彼の体はそのような疲弊には耐えきれずに

病へと臥せってしまうのです。

 

ご存じの通り賢治の作品には

教科書などにも使われて有名な作品があります。

本中には2作品(「グスコーブドリの伝記」、「銀河鉄道の夜」)が

出てくるのですが、これらの作品は病に倒れたときにできています。

後者の場合はすでにあった作品を手直ししたようですが…

 

この2つの作品には若くして病に倒れなくなった妹を

投影させていたといいます。

どれだけ大切に思っていたのでしょうね。

特に「グスコーブドリ…」に関しては家族愛を感じるんですよね。

(まあ結末はわかりますね…うん…)

 

おわりに

いわゆる人物的に「Oパーツ」のような方は

歴史において何人も存在します。

よくよく読んでいくと賢治が提唱していた農法は

今においては当たり前のようなものとなっています。

 

大規模に行う場合はもはや当然のように。

でもその当時はそれを受け入れる素地はなかったものの同然。

どれだけ不遇だったか。

 

本中には心の葛藤もあります。

定期的に訪れる<青い波>という心の揺れ。

彼とて思い悩んだのです、そしてもがいたのです。

そして…