超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

司馬遼太郎「菜の花の沖 6」

粉歯磨き粉を大胆散布してもうた。

蓋締まっていなかった模様。

 

 

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司馬遼太郎「菜の花の沖 6」

菜の花の沖 6
司馬 遼太郎

文藝春秋 2000年09月01日 

by ヨメレバ

 

 

【感想】

ようやく、完結と相成りました。

この巻に関してはきちんと最初から最後まで

脱線されずに物語として成立しております(笑)

前の巻が、ほぼほぼ脱線していましたからね。

 

 

不運なことに嘉兵衛の乗る船は

ロシアの攻撃を受け、

嘉兵衛は自害をしようとする間もなく

捕まえられてしまいます。

 

 

待ち受けていたのは右も左もわからぬ

異国の地での日々でした。

 

 

これだとあきらめてしまう人も多い中、

彼は何とかしてこの異国の地から脱出しようと

何とかしてロシア語を覚えることを決意します。

 

 

文字のほうは捨てて、言語を覚える嘉兵衛。

やがて1か月たつと何とかコミュニケーションが

とれるようになるのです。

もうなんというか、熱意がひしひしと伝わってきますよね。

熱意がなければこれだけの期間で気持ちを分かり合えることは

かないませんからね。

 

 

ただ、それだけの熱意をもってしても

彼らの処遇は決していいとは言えず

嘉兵衛についていった人たちのうち最終的に3人が

栄養失調によって倒れてしまい、結果亡くなっています。

 

 

どれだけこれがつらいことはわかることでしょう。

彼らを日本の地で弔ってあげることはできないのです。

異国の地で亡くならなければならない不条理さ…

怒り…それが伝わってきましたね。

 

 

そして嘉兵衛のひたむきな気持ちは

ロシアにいた一人の気に食わない軍人さえも

その気持ちに変化をもたらします。

 

 

その当時のロシアの軍人は原則貴族の人でした。

だけれどもそうでない人もいて、

そういう人は結局は地位も約束はされないので

その行きどころのない心は粗暴さへと向かっていくのです。

 

 

だけれども、その一人の男さえも彼は

最終的に変えてしまうのです。

後年、日本から漂流してきた人たちに

その男は決してひどい待遇はしなかったといいます。

 

 

そして、ようやく嘉兵衛たちが帰るとき。

ここすごくいいシーンなんですよ。

日本に捕虜としていたゴローニンも無事に渡され、

すべてが終わるときのセリフ…

 

 

もうね、行間から何にしても

読ませやがる文章なのですよ。

やっぱりこの人はすごい人だったんだな、と

読み終えて感じました。

 

 

でも、悲しきかな、高田屋は結局嘉兵衛の代で

終わりを告げてしまうのです。

やっかみがあったし、時代が時代だったからですね。

鎖国がなければ…違ったのかもしれませんね。