明日は有酸素確定。明後日は進捗次第。
有酸素のおかげで腹が締まってきました。
でも重いデニム(あったかい)の負荷は結構で筋肉痛だYO!!
(硬いので和式のトイレで難儀しました。なおかがめない難儀じゃないよ)
春にして君を離れ 早川書房 2004年04月
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孤独下に置かれた女性
一人の女性の物語です。
夫、三人の子供たち…
何不自由なく生活を送れていた彼女。
ところが旅行中、電車に乗り継げなかった彼女は
足止めを食らってしまいます…
感想
※過去にすでに別エディションで読了済みの本となります。
一応アガサ・クリスティーの本は全集で全部読んでいます。
ですが、こちらでは再読は何度でもしてやる!!というコンセプトのもと
運営しておりますので取り上げさせていただきた次第です。
この本は数冊しかない彼女の非ミステリー作品となります。
ロマンスものです。
だけれども非常にとげのある、というか人に突き刺さる1冊となっています。
この版だとあとがきは今は亡き栗本薫先生が寄せているのです。
そこにも書いてある通りで本当にこの作品は救えません。
この主人公の女性であるジョーン・スカダモア。
一見するとまじめそのものの女性に思えることでしょう。
冒頭では、ね。
でも読んでいくうちに読者は違和感を覚えることでしょう。
それは娘に対する彼女の対応で少しずつ
「なんかおかしくね?」と感じてくるように。
いわゆるこの人「自分が一番」なんですよね。
冒頭には彼女に「とっては」汚らわしい存在である
友人(?)のブランチが出てきています。
このブランチは一見すると傲慢で、
目立ちたがりな存在に映ります。
でもそれは全部を読み返した後だと彼女の醜い嫉妬だということに
気付くことでしょう。
つまりね、ジョーンは不器用なんですよ。
まじめしかとりえがなかった。
そのまじめさを結婚後もね、家族に強要したわけですよ。
その結果は言わずもがな。
長女であるエイブラルが最たるもので、
彼女に明確な敵意を向けるのです。
冷たいんじゃないんだよね、あれは敵意だよ…
それと次女のバーバラはこのクソ女(クソだから言ってしまったわ)の
犠牲になり、病んでしまいました。
まあ、彼女は意地でもこのクソ女との接触を避けたいらしく
ある企みをクソ女の夫としたようです。
唯一の彼女の星であった長男も
彼女の元を離れ、はるか遠くの地に行きました。
…もうこの時点でわかりますね。
この人は夫もそうですが、
家族の全員に実質、見捨てられてるのです。
特に長女は精一杯の反抗をある種の時代にしています。
でも彼女はあくまでも「潔白」を押し付けた。
自分の子供のあるべき像を押し付けた。
これは子供たちの叫びだったわけです。
そして夫も…
これは明確には出てきませんが
つまり「ああいうこと」があったんだろうなと思います。
もう彼女は「いらない人」だったというわけ。
最後になんか浮かれている彼女の描写で物語は
終わりますが…ね。
おわりに
確かにこの家族にも問題はあるでしょう。
直接的に関わらなかった、突き放さなかったわけですし。
でも、こう言う分類の人間はそうされてもわからないんですよね。
ちなみに終盤に確実にこのクソ女の信頼がないであろう
描写が見られます。
次女のバーバラの手紙。
「お前に孫は見せねーよ」的なものですしね。
こうやられるようになったら、人としてはおしまいです。
結局彼女は一人孤独に異国の地に置かれた日々で苦しんでも
何にも学べなかったのです。
「プア・リトル・ジョージ」
こうなる可能性はだれしもあるのです。
これ、一応70年以上前の本です。
でも、ぜひ、今だからこそ、読んでほしいです。