今日は強風のために行くのを見合わせました。
結局移動速度が遅くなるし
体痛めているのでその不調を悪化させるからです。
新訳 アンクル・トムの小屋 明石書店 1998年09月
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逃れられない制度
この物語は実際にその時代であったであろう
悪しき制度がもたらした悲劇の一部でしょう。
その出自は出生した時点から
忌々しきものとして扱われました。
人としての扱いは約束されぬも同然だったのです。
しかしながら、そんな制度を持った州の中にも
良心をもってその奴隷を扱ったものたちは
いたわけです。
ですが、その家が借金に追われたとき
彼らの一時の安寧は
終焉を迎えるのです。
感想
一応この本はタイトルはこうなっていますが、
実際は別の視点(混血夫婦の物語)も
入っていることを付け加えたいと思います。
この別の視点の人たちや、
トムが最後の悲劇の農園で出会った女性たちのように
その悪しき慣習に反発し、
その制度のなき場所で暮らすか、
はたまたトムのようにもはや不可避となってしまった
絶望的な展開にも抵抗せず、
自らの魂をも神にゆだねる日々を送るのか…
実はこのトムはある種の批判を受けているのです。
抵抗をしないことがその理由ですね。
だけれども、最後の主人である
レグリーのもとに引き渡されてしまった時点で
命運はすでに尽きてしまったと思うのです。
何せ相手は狡猾そのもので
同じ黒人たちをあえて戦わせることによって
支配的状況下においていたのですからね。
確実に負け戦であることは
悟っていたと思いますよ。
しかもレグリーや使役する黒人のリーダー格の
思うようにはならないので矢面に立つのは
必至でしたし。
ちなみに前述の通りで
なんとかしてトムを助けようとした
2名の女性がいます。
結局はトムはその差し伸べた手を拒否するのですが
彼女たちはこの悪の権化である
レグリーのある弱点を逆手に取り
最終的には自由を勝ち取ることに
成功するのです。
彼女の内の一人はいわゆる
レグリーの慰み者だったのです…
だけれども彼女は心までは決して
屈服はしていなかったわけです。
ちなみに、何とかしてトムを買い戻そうとした
一家の成長したジョージは
最後にこの極悪人に虐げられたものを代表するかの如く
鉄槌を食らわせます。
これが印象的でしたね。
でも、遅かったんですよ…
この場面がすごく心が痛んだな…
世の中にはどうにもしようもない事態が
多々あるけれども、こんな最悪の展開は
本当に出くわしたくないものよ…
おわりに
ただし救いなのはこの逃げ出した混血の夫婦たちが
きちんと報われていることね。
実はトムを助けてくれた女性の一人は
夫の方の姉だったんだよね…
ちなみにトムの死の前に、ある立派過ぎるお嬢さんの
死の場面があります。
すべての人が鬼畜ではなかったのです。
でも、優越感は時に人を殺すの。
ほら、今でもあるでしょ?
優越感はそれが過ぎれば
人種差別のような悲劇を生み出します。
こんなクソみたいな感情なけりゃあいいのにね!!