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【とてつもない敵と、別れ】ディーン・クーンツ「オッド・トーマスの救済」

明日は何とか曇り。

少ないお楽しみの日には影響も出ませんので

私の日々飲む飲み物もついでに補充したいと思います。

 

 

 

 

ディーン・クーンツ「オッド・トーマスの救済」

オッド・トーマスの救済
ディーン・クーンツ

早川書房 2010年04月25日

by ヨメレバ

 

 

 

 

安寧の地は、なかった。

オッドというのはこの霊的な力を持っている以上

試練に立ち向かわざるを得ないのかもしれませんね。

 

なぜならば、絶対に悪しき存在がいないであろう

修道院にすらあのあいつの影がちらついていたから。

最初はオッドとともにいるちょっといかつい人間を疑うのですが…

 

感想

人というものの恐ろしさを見た、という具合でしょうか。

今回は例が敵であることは確かですが

今までとは毛色が明確に違うものとなります。

 

なぜならば、相手は明確に知力もあるものだから。

だけれどもその知力を間違った方向に使い

その結果生じたものを「悪」とは断じきれなかったからです。

 

あとがきの通りでこの作品はアメリカを揺るがした

ある種の出来事の後に描かれた作品です。

一応、向けられているベクトルはアメリカのそれに対して。

 

だけれども日本でも同様の事件があったことを忘れてはいけません。

この作品では「ある種の存在」を生み出してしまいましたが

その事件は絶対的な知力を持っていたであろう「人たち」が

その使い方を間違えてしまったがために

「魔のブツ(比喩表現)」を作り出してしまい

自分の力をふるいたいがために、人を傷つけてしまった…

 

「人を傷つけた」という点、共通していますよね。

今回の作品中では犠牲者はこれらの事件よりも

明確に少なくなっています。(それでも出てしまっていますが)

 

きっと著者はifの世界があれば…と思ったことでしょう。

もしもオッドがいたのならば…という感じで。

(死のにおいがするところにあの悪霊は現れるからね!!)

 

この作品は真の黒幕に関しては出してしまうと

面白くないので出しません。

一応読者を罠にかける描写があり

はじめはある人を疑いたくなるはずですよ。

 

結構面白い作品なのに

この作品は完訳されていません(大事なことなので何度も言います)

読みやすいんだけどなー…

 

おわりに

実は黒幕の悪あがきも見どころですが

オッドと同じ能力を持つであろう人間や

どうやらオッドの今は亡き彼女が見えている人も現れます。

それと、彼の能力のカギになりそうな描写も…

 

そして、最後に、ニンマリできる描写があります。

基本彼の能力は霊には干渉できないのですが

例外がいますよね?

そう、あの人…

 

こういう読者サービスが多い作品なのにな…

やっぱり今回、宗教色が強かったせいなのかね?

(一応ほかのシリーズも完訳されてないのがあります)

 

ねえ、早川書房さん、完訳してくださいよぉ!!

 

おわり