超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

レイチェル・カーソン「潮風の下で」

晴れた日というものはホッとするものですね。

雨の日はあまりに続くとちょっとうっとうしいもので。

 

 

f:id:misasaru:20191216092739p:plain

 

 

レイチェル・カーソン「潮風の下で」

潮風の下で
レイチェル・カーソン

宝島社 1993年05月10日 

by ヨメレバ

 

 

最初に

著者の名前をご存じでしょうか?おそらく学校では取り上げられは

しないかと思います。

私が彼女を知ったのはなぜか子供向けの人名図鑑でした。(その当時では稀有だよね)

 

そういうのが好きだった私はこの図鑑、むさぼるように読んでいました。

まだ今のような活字が好きではない、大嫌い時代の貴重な記憶です。

 

著者の作品で有名なのは化学物質の危険性を指摘した

「沈黙の春」や没後に出版された「センス・オブ・ワンダー」でしょうか。

この作品は、彼女の著書としては最初の書ですが元の国では

あまり売れなかったのもあり、最後に翻訳された作品でした。

 

感想

おそらく、この本が1300部ほどしか売れなかったのは

内容が結構専門的なきらいがあったからなのかもしれませんね。

名称にも分類学名からとったものがあるために

とっつきづらいところも見受けられますし。

 

 ですが、私たち人間以外を取り巻く、陸地の生物

そしてこの本のメインとも言って過言でない、海の魚たち。

彼女の描いた生き物の世界はその文章からも生命の美しさを感じるものでした。

 

この本、とっても珍しい本でもあるんですよ。

なぜならば、中盤ぐらいからでしょうか…魚たちが出てくる物語があります。

その視点というのが「魚」の視点なんですよね。

 

魚の視点といえば教科書にも出てくるある絵本を思い出すのですが、

それ以外でも魚の視点というのはあるものなんですね。

ただ、魚の種類に人名がくっついてくるために多少ばかりか

物語を追いかけづらいという欠点もあります。

読んでいて時に?マークがちらつくことも読んでいてありましたからね。

 

サバの視点というのが出てくるのですが

もちろん知っているでしょうが最初からあのサバのサイズではありません。

卵からかえり、様々な危険から逃れ出た多くの卵からの少しの生き残りが

私たちの食卓に並ぶわけです。

 

で、そのサバが見舞われる危険というのは、本当に多いのです。

自分よりも大きな魚に狙われたり、

小さい時代だとクラゲにからめとられてもう一巻の終わり??となったり。

(このケースでは幸い、クラゲよりも強いのがいて救われます)

 

ある程度大きくなろうとも敵はいっぱいいるのです。

空からの敵だっています。海鳥たちです。浅いところでその鱗をキラキラさせれば

待ち受けるは死への浮上です。

 

さらに…このサバの物語で出てくる最後の敵は

 われわれ人間なんですよね。何せ私たちは、おいしいサバを食べてしまうのですから。

鳥や大型生物なんて目でないぐらいの文明の利器にて、

彼らを一網打尽にしてしまうのですよ。

 

われらがこの物語の主人公も悲しきかな、この文明の利器の掌中に

おさまってしまうのですが…でも、でもね…

 

ここからは本を読んでほしいところですね。

 

おわりに

読んでいて率直に感じたのが固有名詞に独特の描写があるところでしょうか。

おそらく翻訳する人も、そこに関しては訳に苦労したのではないかと

冒頭に書かれている注意書きでうかがうことができます。

多分何とかしようとしたのだけれども苦慮の末「無理!!」となったのでは…

 

あのベストセラーが生まれたのも、これだけのしっかりした洞察力が

あったからこそなのかもしれませんね。

 

おしまい。