超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

大森望責任編集「NOVA 4」

ここ数日雨が続くといいます。

生活基盤がいわゆる自転車の私には

つらいところですね。

車?とか言わないでね、目的場所がどれも駐車料金必至だから

難しいのよ。

 

 

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大森望責任編集「NOVA 4」

NOVA 4
大森望

河出書房新社 2011年05月 

by ヨメレバ

 

 

シリーズ4作目読んだどー!!

私には私得なシリーズだと個人的には思っております。

なぜならば私がSFを読むとなるとどちらかといえば海外SFのほうが

多くなってしまいますからね。

 

まあ、もともと読み始めたきっかけというのも

ビッグ・スリーのアイザック・アジモフの映画化された作品の原作を知りたい!!

というのがきっかけになっていますからね。

 

 

それでは感想であります。

やっぱりSFという作品が私は好きなんだな、と感じます。

やはりそれは年を経ていくと感じることで、

少女時代(まだその時は性自認は女性だと思っていたので)にはファンタジーが好きな

人間で通っておりましてね、指輪物語とかホビットの冒険とか読んでいました。

 

ただ、こんなことを言うと冗談でしょ?と思われてしまいますが

決して本の虫ではありませんでした。むしろそれ以外のジャンルは苦手。

嘘じゃなくて新規開拓とかマジマンドクセでしたからね。

年を重ねるということはいい意味でも、悪い意味でも不思議なものです。

 

さて、本編へと戻ってまいりましょうね。

 

残念ながら私の好きだった「火星のプリンセス」シリーズは

今回は原稿落としとなってしまいましてこの本には収録されていません。

名前が見当たらないな、と思ったらちゃんとあとがきにその旨が明記されていました。

 

寓話的なSFもあれば、しんみりとくるSFもありますし

まるで一連の出来事が映画にも見えるSFもありました。

 

寓話的、という要素で見れば

竹本健治氏の書いた「瑠璃と紅玉の女王」という作品が

それに該当するのではないか、と感じています。

 

それは一人の宝石に見せられたというか執着する女性が

そんな女性に惚れ、途方もない願いを何とかしてかなえて

そのハートをつかみ取る物語なのです。

 

だけれども、この女性というのは正直、傲慢の権化だと感じました。

彼女は交際したい男性に、ふろおけいっぱいの宝石を要求し、

それは年ごとに量が倍加されていくのです。

彼女のそのものは結局のところ、もらうだけで与えるのはその身体のみ。

割に合わないと思うのです。

 

だけれども惚れた王子はそれを叶えるためにまるで鬼神のごとく

自国を統治していくのです。

その様はまさに理想的、ともいえるもので

もしも現実にその王がいるのならば入れ替えていただけぬか?

と思えるほどです。

 

ですが、だんだんとその「当たり前」に女性は飽きてくるのです。

それはそうでしょう、結局のところそういったものには限界が訪れ

いつかはそれ以上のものは得られなくなるのですから。

 

その先の女性の展開と国のたどる運命は…なのですが

これはぜひ読んでみて、その何とも言えぬ展開を目の前に引き寄せていただければ

これ幸いなのであります。

 

言えることは傲慢は破滅を招くということ、そして欲も同じく、

といったところでしょうかね…

 

映画のようなSFというのは

読者に優しい本の作りで定評のある京極夏彦氏の作品です。

ページが次のページにかからない、という作りは本当にうれしいんですよ。

 

こういう指摘をすると野暮なのでありますが

新書とか専門書にはことに多くていちいちページを戻さないといけない場面には

よくでくわすんですよね。

 

この作品はいわゆるあらゆる「終わり」のさくひんです。

主人公の周辺では関係した人物の「死」だけではなくて

ありとあらゆるものが唐突に終わりを告げていくんですよね。

 

それはなぜだかは説明は決してつかないんです。

だけれども確定した事実としてあるのは「ありとあらゆるものが終わる」

という非現実。

 

現実でないからいまいち実感がわかないのですが

これは事実として提示されたらなかなか恐ろしいものでありますね。

ただ、救いなのはその「終わること」が彼の住む範囲内(?)での出来事だということ。

もしそうじゃなかったら非常に困りますね。

 

この作品は終わり方が秀逸なんですよね。

読み終えた後、すごいドラマを見たな!!という感覚を覚えましたからね。

 

 

終わりに

最近はいい本に出会えているな、と思います。

やっぱりこの読み方をしていると次の本は頭まっさらで読まないと

影響がありますしね。

自由度こそないけれども、楽しめているのでよき良きなのであります。

 

 

おしまいだよ!!