明日もか…
天気が良い限りはしっかりとやっていく。
自動車絶望工場 講談社 1983年09月
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そこはまさに、地獄だった…
6か月間、某有名会社の
季節工として潜入することになった著者。
繰り広げられる光景は
人が人でなくなり、死がまとわりつく
あまりも酷…いや行きながら地獄にいるような
絶望に尽きる工場だったのです…
感想
今は変わったのではないか?と
思いたいのではありますが、
時折真偽こそ不明ではありますが
こういう感じの場所での働き手の
密告らしきものを目にします。
と、思うといまだにこれらの問題は
解決していないのではないか、と思うのですよね。
じゃあ機械オンリーにすれば?と思うでしょうよ。
だけれども、そうした場合には
彼らのアイデンティティーは即吹っ飛びます。
その駒(言い方は悪いですが実質そう)がなくなるも同然ですので。
なので難しい問題なんですよね。
結局のところ単純作業に尽きるわけですので
誰しもができることではないですし、
本中に出てくる組み立て工程に関しても
説明はされているものの、実に複雑なもの。
しかもこれらを成し遂げるには時間制限がある。
読んでいけばわかるのですがその時間、だんだんと短縮される…
で、起きることといえば、ね?
もうめちゃくちゃでしょ?
そんな環境で不満が沸き上がらないはずがないです。
そしてもちろんこう言った場所には
不条理な力が働きます。
もみ消し、とか政治的背景とかね。
ある種の労働災害も扱いが歪曲されている
わけでしてね…
本中ではごく一部の扱いしかありませんでしたが
もっともっとあるのでしょうね。
早さ、数を求めるとなると人力では
限界を迎えることになりますから。
そしてその限界を迎えたときにヒューマンエラーが起因したであろう
事故が起きてしまうんですよ。
製造した車両で(!!)
本当著者のメンタルというか
取材に対する執念には頭が下がるばかりですよ。
はっきり言っていくら器量がよくたって
同じパフォーマンスでなんか人は作業できないし
人なので絶対肉体も精神も疲弊します。
だからXXX方式(一応本中にはあるけど伏せね)なんて
はたから成立しないお話なんですよね。
これは著者も言っていたけど。
個人的には結構付き合いのあった仲間が
もう少しで勤め上げる前に脱落していったのが
とてもつらく感じましたね。
それでも告げられるは退職勧告。
もうね、なんなんだろうな…
おわりに
実はこの作品ではある種のノンフィクションの人が
批判されています。
私も読んだことのある人ですが
そんなむごいこと言っていたのね。
審査員として…
まあその方はメディアに近い人だったので
言葉は悪いですが、
犬に成り下がっていたのかもしれませんね。
私が原則あまりそういうのに触れないのは
忖度するからね…
そこには歪しか生まれんのよ。