超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【百人一首に秘められたものは…】高田崇史「QED 百人一首の呪」

手術も無事に終わりました。

脇の下のそれよりは痛くなかったけれども耳元で手術されるから

音が身近でおっかなかったです。

 

 

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高田崇史「QED 百人一首の呪」

QED 百人一首の呪
高田崇史

講談社 1998年12月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 幽霊が出た…だと!!

ミステリー作品においてよく出てくる「幽霊」とか「幽霊が殺った」という描写…

まあある程度かじっている読者の皆様ならわかる通りで

んなわけがないのです。

ですが、そう思うような文を書けるのがまずこのジャンルを扱い人たちの

素晴らしさなんですよね。

 

ただしこの作品「百人一首」の要素が多様に含まれており

興味のない人は埒外に追いやられるかもしれません…

 

感想

このシリーズは名前だけは知っていましたね。

なのでこうして読めたのはただただうれしいものです。

 

ちょっと濃い(?)人物である崇(愛称:タタル)と

その崇に密かに想いを抱いているけど

なかなか報われない女性が登場するシリーズものです。

まあ、崇は興味のあるものには一直線だからこれは仕方がないけれども…

切ないかもしれませんね。

 

作品は先ほども前置きで言いました通りで百人一首が物語の

キーになっております。

実は百人一首にはある種の秘密が込められているみたいなのです。

もうね、それが驚くほどスケールが大きくて途中からお口あんぐりでした。

 

あるものに当てはめることができる、というのもまたすごいです。

その「あるもの」の存在はあまり歴史に明るくはなくても

存在に関しては知っていたのでなんかすごいなとは思いました。

 

で、事件の鍵となってくるものには人の特性と化学的なものが絡んできます。

ある人物が持ち合わせている特性といったものですね。

いわゆるすごいと思わせる特性だけれどもそこには「もろさ」も出てくるのです。

しかも前情報として「すごい」部分が前面に出てきてしまっているので

もろさが真の情報を隠してしまったという…

 

そして、第一の犯行に関しては科学的なものの悪用です。

ですが…これは事件が起きる前に出てきた食材の組み合わせで

ピーンとくるものがありました。

なぜかといいますと…

 

その組み合わせの中には「避けるべきもの」として出てくる組み合わせが

ちらほら出てきましたので。

ただし、科学的物質の悪用までは頭は回りませんでした。

でも実際に使われましたからね。

 

真の仕立て人は…意外かもしれませんね。

だけれども、この偏屈鬼畜な屋敷の主人の行った忌々しい行動からしても

そうなってしまう運命だったのかもしれません。

 

その反面、なぜ主人がここまで偏屈な行動をとったのかも

物語の真相を解明するプロセスで出てくるのですが…

それは鬼畜そのものの彼が案外小心者であるということを

示唆するものであったんですよね。

しかも、そんな彼ですらその悪事の反動から身を守ろうとしたのにかかわらず

愛するものは守れなかったわけでして…

 

そして、この作品では解明されないものも出てくるのです。

すべてが終わったときの、ある人の反応。

それはあまりにも切なさを感じてしまいました。

もう、報われることはないんだよね。まずな。

 

 おわりに

結構このシリーズは冊数あるのですね。

シリーズものにはあまり今は配分をかけてはいないので

ちょうどいいかもしれませんね。

 

続きも楽しみであります。

 

END