明日は少し買い出しのみかな。
ヨーグルト補充。
影の告発 光文社 2002年03月
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意味深な章冒頭…
初めて名前を聞く作家さんでした。
まあ私は基本的に読書傾向がクッソ偏っているので
こういうことはざらにあるお話なのですが…
この作品は構成が実にしっかりしてるなと思いました。
なぜならば、だんだんと章がすすむにつれて
わからなかった部分が明るみに出てくるからです。
感想
何だろうね…すべて著者の手のなかという感じでしたね。
あ、この感想はこの本のほとんどを占めている
表題作についてです。
表題作は章の冒頭にメインの事件とは別の描写が出てきます。
一人の少女が先の見えない状態に陥っているんですよね。
一応この冒頭部分、しっかりでなくていいので
概要程度は頭の片隅に入れておいてください。
だんだんと章が進んでいき事件を解明していくと
おや?と思えてくるでしょうから。
事件は百貨店のエレベータ内で
一人の中年の男が殺害されることに始まります。
この男は「女が…」と言い残し死んでいきます。
そして、調べていくうちにこの被害者には
何らかの隠したい事情があり、
ある種の時代以前の事柄を意図的に消していることが
判明するのです。
これはまあ言わずもがなですが、冒頭としっかり関係があります。
つながりは中~後半から明確になります。
ただし、それらの事実は大変に胸糞な要素となっています。
人はどこまでも鬼畜になれるとは言いますが、
被害者には鬼畜な要素があった、というわけです。
そして犯人に関してなのですが、
これは隠してはいません。
追及する側のメイン人物である千草検事も
その人しか追っておらず、
当初はその人間に軽くいなされてしまうものの
とことんまでにその人物の周りを追っていくうちに
確実に犯行に至る経緯をつかむのです。
これは…割と早い段階でわかります。
それに付随して被害者の醜悪な過去も
露呈してくるわけなので。
一応この作品は、戦災遺児、孤児というものを扱っています。
その中の描写にとてつもなくえぐいものがあるんですよね。
それが彼らがいた施設の子供たちの描写です。
これらを見ると人生って不平等だなと思うんですよね。
どんなに頑張っても埋め合わせのできないものがある。
そしてこの事件の大元になったものも
その孤児が真っ先に犠牲になっているんですよ。
なんか切ない作品でしたね。
おわりに
ちなみに表題作以外にも短編があったりします。
あるわがままな妻を殺害しようとする男のお話ですが…
展開的には、ま、そうなるなという感じです。
方法はあったよなー…と思いましたね。
あとはエッセイ的なものもあります。
これは短めです。
コレクション、読んでいきましょうか。
すごくよかったからね!!