先週なんか発売していたらすぃ。
あとこのウィルスのせいか、販売日程消えてる…
だろうね、儲けが見込めない…
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睡蓮の長いまどろみ(下) 文藝春秋 2000年10月
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彼は、すべてを知る
ついに順哉は、ある人の情報により
生みの母親の秘密をある程度知ることになります。
どうして彼女は順哉を見捨てて、
出て行ってしまったのか。
それは彼女が抱えていた(?)
ある種の運命でありました。
感想
生みの母が持ってしまったある種の定めは
おそらく、現代で言う親ガチャ的なものもあると思うのです。
それと、彼女が取り巻いた生育環境。
それがゆえに彼女の中には「彼女と関わると人が死ぬ」という
悲しいジンクスを抱いてしまうことになったわけでしょう。
現実に何度も続いてしまえば、そう思いたくもなってしまうことでしょう。
ただし、すべての死に関していえば彼女(森末美雪といいます)が
悪いわけでは決してないということ。
3つ目の、順哉を置いていかざるを得なくなった「死」に関しても
これに関しては美雪は決して悪くはありません。
取り巻かれた環境があまりにも悪すぎたのです。
ただし、ひとつだけ言えるのは順哉の父も決して
彼女を守らなかったわけではなかったわけです。
でも当時の時代としてはクソトメを止められる時代じゃなかったということ。
美雪の義母は間違いなくクソトメでしょう。
あからさまに敵意をむき出したのですから。
そんなクソトメから育った順哉の伯母は絵にかいた●乱(伏せます)娘と
なり果てました。
(こいつがどこまでもクソDQNで、美雪まで金をたかりに来ます)
そして美雪を完全に壊してしまった「死」の因果が付くのです。
死の瞬間の描写、この作品はえぐいです。
単純な表現ですが、その死の瞬間が
いかに凄惨かはその死をもたらした結果の描写で歴然です。
ただし、それはこの本のタイトルの睡蓮の持つ言葉通りで
「果」なのですよ。
ただしそれは美雪がもたらした「果」ではないです。
彼女の義家族がクソ男を放置した結果の「果」
そして最後には順哉が美雪と邂逅し、
父にその報告をした結果明らかになることがあります。
「確かに彼らの愛は本物だった。だけれども…」
再び実は結ばなかったということ…
世の中にはこういうことはいっぱいありますよね…
おわりに
決して読者の望むであろう結果には終わらない作品です。
だけれども、確かにそこには「確実な愛」は存在しました。
けど、様々なめぐりあわせの結果それは長くは続かなかった、ということ。
別の側面の少女の死に関しては
もう一つの事実も出てきます。
でもこれもまた見えた事実は悲しいものでしたね。
人生は、不条理の連続。