超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【あの出来事は無慈悲に…】壷井栄『二十四の瞳』

 

明日は別途での40分+αコース

行かねばならない事態に陥りました。

まさかの要求された商品がないんだよ!!

 

 

 

 

壷井栄『二十四の瞳』

二十四の瞳
壷井栄

新潮社 2005年04月

by ヨメレバ

 

 

 

 

おなご先生がやってきた

小豆島のちに、新しいおなご先生がやってきました。

どうやらこのおなご先生、今までの先生たちとは

ちょっと違うようですよ。

 

島の人たちも今までの先生たちとは違うので

戸惑っているみたいで…

 

感想

実は1年生の部分は結構短かったりします。

というかおなご先生こと大石先生自体が

まあ子供たちのどえらいいたずらによって

長期離脱という憂き目を見てしまうから何ですよね。

 

大石先生は落とし穴にはまって(!)しまったのですが

どえらいことに、負傷したら一番まずい

アキレス腱を切ってしまったのです。

 

何せ当時は医療技術もあまりいいとは言えません。

そのためにけっこうな期間不自由を

強いられてしまうんですよね。

 

彼らとの日常には貧困の影がちらつきます。

医療に関してもいいとは言えないので

教え子の中には母親を産後に亡くしてしまう子がいます。

その結果彼女は小豆島からはいなくなってしまいます。

 

それとそのあとの修学旅行でも

貧困の影はちらつき、思うようにお金を工面できなかったために

修学旅行に行けなくなった子も出てきます。

 

何せ今のように稼ぎ口が限られてしまうのです。

懸命に働こうとも、得られるお金は…

そう思うとやるせないものがありますよね。

 

そしてさらに月日が経つと、

だんだんとこの島にも、戦争の影がちらつくこととなります。

成長していった教え子たちも、

やがて国のために戦地へと出ていく子もいました。

 

もうおわかりでしょう…

その中には帰ってこなかった子もいるのです。

または帰ってきても、かなり致命的な深手を負って

「帰された」ひともいました。

失明という最悪の形で。

 

女性側でも悲劇をたどる子がいました。

奉公に出たはいいものの、病気に斃れた子。

そして身売りされたまま、行方が知れなくなった子…

波乱の時代は、教え子をも奪っていったのです。

 

印象的なのは最後でしょうね。

久しぶりに集まったかつての生徒たち。

その中には自分の子供が今、

大石先生に教えてもらっている子もいるのです。

 

変わらない関係、そして消えてしまった関係。

歴史にifはないけれども

もしもがあったのならば、消えなくてよかった瞳があったはず。

あったよな…

 

おわりに

なんか連続してけっこう反動が来る作品が続くね。

感受性が過敏になっているのでしょうかね。

 

当たり前が当たり前にできること。

そうでなかった時代があること。

忘れてはいけませんね。