超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【その奇妙な神隠しは…】道尾秀介『背の眼』

新年あけましておめでとうございます。

今年もよく感想が書けますように。

そして、いい体が手に入りますように。

 

 



 

道尾秀介『背の眼』

背の眼
道尾秀介

幻冬舎 2005年01月

by ヨメレバ

 

 

 

 

神隠し…だと?

現代においてそれはあり得ないと一蹴されがち。

だけれどもその土地に天狗などのお話が

広まっていたとしたら…?

 

たまたま行った場所に違和感を覚えた男は

親友である霊研究の男に

その話を持ち掛けますが…

 

感想

同一作家が短い間隔できましたね。

ただし、選んだのは別口です。

なので偶然なんですよー…

 

ちなみにこの作品は作家としてのデビュー作です。

ですが…やっぱり著者の持ち味がこの作品でも

しっかりと出てくるんですよね。

 

著者は複線の回収のタイミングが巧みです。

それとある程度事実を出してから

驚くような事実を出してこちら側を驚かせるのも

得意なようで。

まったくこちらを困らせてくれますな!!

 

ちなみに主人公の名前は著者本人です。

こういう作品は結構ありますよね。

しかも物書きという点も一致しています。

 

ちなみに友人の名前は真備庄介という男です。

ちょっと変なやつで時に空気を読まない発言をするために

まあ調査の際にえらい目に遭ってしまうのですよ。

 

そして助手の北見凛。

この子はちょっと特殊な力を持っているんですよね。

ただし悲しきかな、この作品ではそれすらも看過してしまう

強敵に出会うことになりますがね…

 

今回出てくるのは白峠村というところ。

本当に人里離れているんですよ。

今回の事件解決の中心である「あきよし荘」も

ちょっと上っていかないといけない場所にあり…

 

この作品の真実に関してはね…

一応中盤に1回答えは出ているし、

真備もちゃんとその該当の人物がおかしいと

明確に言っているのです。

 

でもね、著者は思わぬ事実を提示するのが得意です。

なのでここで気を抜いては絶対にいけないのですよ。

どうしてこれらの事件は起きてしまったのか…

 

自殺案件に関しては別個です。

これは現実世界では解決できない案件です。

 

ただし、神隠し案件に関しては実際に解決できる案件で

事実を知ってしまうと、本当にきつい思いをするやつです。

確かにこれらの事件は許されるべきことではありません。

 

実際に4件のうちの1件は

最悪な死体状況となっていますしね…

そしてほかの子も…

 

だけれどもその事件に至る背景を見てしまうとね…

そんなことがあってしまえば

平静でいることはきついと思うのですよ。

いや、もはや無理だったんだと思うな。

 

こういうのをケアできないのは切ないよなぁ。

なので歯がゆくも感じてしまいます。

 

おわりに

ここでは紹介しなかったけれども、

実はもう一人活躍してくれる少年がいます。

彼も実は、北見凛と同じものを持っています。

ただし、彼のほうがその力は上です。

 

ただしそれがゆえにね…

救いだったのはちゃんとこれも

終盤に救いある展開があります。

彼に幸あれ。