明日は天気悪いのね。
出るのは明後日だから影響はないけど…
逆転世界 東京創元社 1996年05月
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その世界は…
この世界には「安定」というものが存在しません。
そのためにだんだんと都市そのものは移動していくのでした。
「なぜ」その都市は移動しているのか…
どうやらその秘密はある書籍にはあるようですが
それが厳重たる秘密により
漏らさぬようになっていました…
感想
この作品は…難解ですね。
それはこの作品が再刊(初出はサンリオSF文庫)であり
カッコ内で明記したレーベルが何回SFのオンパレードという点からも
お察し、といえましょう。
(難解なSFが大好きな私にはご褒美でしかないレーベルです)
私は残念ながら賢い人種ではありませんので
この本の魅力を伝えるにはいろいろと不足があります。
だけれども感じたのは「信じ込まされること」、
それに追従させられるものの脆さでしょうか。
現実に主人公であるヘルワードは最後の最後まで
彼が住んでいた世界の事実を完全にまでは
払拭はできないように思えました。
現実に最後にあった「別の世界の人間」(ここではあえてこう明記します)
エリザベスに取った対応からしても
そのように私は解釈させていただきました。
その一方で序盤にかつてヘルワードが愛した
ヴィクトリアは何となくですが彼らの世界の「歪」を
見抜いていたのではないでしょうか。
そこには女性蔑視しか存在しない
明らかなる男性優位である彼らの住む世界への
真っ向からの反抗ともいえましょう。
現実にギルドの人たちに男性はいません。
そしてたとえ子供ができても女性は
都市から追い払われる人(転送)が出てくるのです。
なのでこの時点でおかしいとは思わないといけないんですよね。
なんかこの世界「狂っていやがる」とね。
そしてその事実が提示され、
すべては終わりを迎えます…
おわりに
どう解釈したらいいかわかりづらい作品ですよね。
自分が生きていた世界は「歪な世界」だっただなんてさ。
そしてそれは今日から違いますよ…とはね。
でもこれっていわゆる「洗脳」による統治だとしたら…?
あ…!!と思うことは多いんじゃないかしら。
現実にやっているところはあるし、
現実に押し付けようとしているところがある。
そう思うと植え付けた幻想は罪だよな…