超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【起死回生と、本能と】桐野夏生「光源」

雪ばっかり見ているように思えます。

そろそろ晴れていただかないと。

 

 

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桐野夏生「光源」

光源
桐野 夏生

文藝春秋 2003年10月10日

by ヨメレバ

 

 

 

 

その作品は…訳あり。

ここまで政策の裏側に、濃すぎる人物がいるとはね…

そりゃあそうでしょうよ、様々な欲望が渦巻くのです。

何とかして有名になりたい新米監督、

 

その俳優を使えば「間違いなし」といわれる男を使い

何とか成功しようともくろむ一人の女性。

彼女も後には引けないんですよね。

いわゆるなけなしの金をこの作品に

引っ張りこんでいるのですから。

しかもこの人、訳あり…

 

感想

人のありとあらゆる感情を書かせたら、著者はすごいと思う。

でもね、この作品はその強烈さゆえ、ダァクな面が前面に出てきており

そういうのが苦手な読者をげんなりさせてしまうほど、強烈。

 

まあ芸能界はそういうのがあるとは言われてはいますが、

それを体現するがごとく、節操という概念は存在しません。

もうね、果ては成功するであろう請け合いの俳優、高見が

もう貞操概念という代物は0どころか測定不能だしね。

(なぜかはここでは明言しません、人によっては激しく嫌悪感を抱くでしょうし)

 

他のメンバーも撮影中にスキャンダラスな出来事(ヌードを出す)を

やらかしてしまったりともう自体は騒然そのもの。

 

それを初めて監督を背負うもの…三蔵はまあ悩むわけですよ。

相手は生もの中の生ものの連中、

彼の焼酎からも簡単に逃げ出すわけで。

 

特に高見は結局、この製作がウヘァな展開にになるところまで

苦しめられることとなります。

一度彼がいい撮影!!と思ったら断固として撮り直しに

応じないわけですからね。

 

そして起死回生を図った女性もね…

まあ彼女はとことんまで自分のままに生きたけれども、

結局それはだれかを犠牲にしたわけで、

高見の件もあって思うようにはならなかったわけです。

 

終盤に関してはまあこの作品は不条理作品なので

やっぱり不条理そのものでした。

でもね…

 

ちゃんとしたツケを払う人間は払っているのです。

誰かは推測は容易でしょう。

はっきり言って周りに迷惑をかけてるし、

いいとこどりばかりしていたのでツケを払って当然だとは思いました。

 

おわりに

ドロっとした作品でしたよー…

ニチャーとしたなんかいやらしい感情がわいてくる感じ。

誰しもが目立ちたい、光源の元にいたい…

 

でもその機会は、平等ではないということ。

一人を除けば確かに最悪の事態はあったけど

きちんと打開できましたしね。

 

一人?チラネーヨ(笑)

 

おわり