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【妄想が、ないだと…!!】古野まほろ「探偵小説のためのインヴェンション『金剋木』」

救援策はあったけど尽きてしまわない…よね?

不安しかないよ、延長来たらな…

 

 

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古野まほろ「探偵小説のためのインヴェンション『金剋木』」

探偵小説のためのインヴェンション 『金剋木』
古野まほろ

講談社 2009年09月

by ヨメレバ

 

 

 

 

 あるものが、「ありません」

前の巻は妄想が隔離されましたが、

今回の巻ではそれが存在しません。

ちゃんとイラストで予告されていますしね。

 

その代わり、あかねんが存在そのものの危機に

見舞われてしまうんですよね。

はてさてどうなったのやら…

 

感想

妄想でとっ散らかす部分がないので快適に読めました。

まあ少しばかりとっ散らかってるであろう場面(ある人の乱入)は

あったことはあったんですけれどもね。

 

今回は弓道少女(諾子先輩)の運転する暴走車両(!)が

事故を起こしたことが発端で始まる密室劇です。

しかも犯行関係者がいわゆる人外となっています。

何かって…吸血鬼ですよ。

 

その特定条件を見てふと頭に浮かんだのは

ほぼ同時期に出てきた翻訳作品でした。

なぜ思い浮かんだかといえばこの作品もまた

今回扱う作品と同じような条件が出てくるから

(一応作中で何人かが吸血鬼になりかける被害を受けますが

その条件があまりに似通っているからです)

 

今回あかねんはそれの犠牲になるのです。

しかも今回の密室の主にそうされてしまうのです。

まあ、この事件には様々な事実があるんですけどね。

 

事件そのものは本当に入り組んでいる感じでしょうか。

その特性上、犯人指定はアンフェアとなっています。

単体では条件を満たすことができませんからね。

(吸血鬼にできない事柄が身近にあるため)

 

そして真相部分には悲しい事情が隠されています。

吸血鬼になってしまったがゆえに

そうでない時代には当たり前にできていたことが

できなくなってしまったのです。

 

そして今回の殺人(?)事件では

それが発端になってしまったんですよね。

なんだろう、とてつもなく切なくなってしまいます。

最後の結末といいね。

 

 おわりに

最初に読んだときにはあまりの妄想パワーに

こちらも圧倒される代物でありましたが、

ここにきて、比較的読みやすくなりました。

 

たぶんあれは刊行して結構批判来たんだろうなぁ…

だってラノベですらあそこまで読みづらい代物ないよ。

むしろ読みやすい作品の方が多いからね。

しかも文字演出の無駄…おっと誰か来たようだ。

 

次の巻で終わりとなります。

本来このシリーズは別シリーズとリンクしているみたいで

そのシリーズの別アプローチものみたいですね。

少しだけうかがわせる描写があるので。

 

おわり