超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【物事が、崩れる】佐野洋「最後の夜」

メンテナンスに行ってきましたよ。

子どもにとってはあの施設は怖いよな。

かつて同じような境遇だった私には他人事には思えんよ。

(どんなにユニットが重々しくなくても怖い場所だよな)

 

 

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佐野洋「最後の夜」

最後の夜
佐野洋

光文社 1985年12月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 大人の香り…

この手の作品は私の好物です。

まだこちらに来ては1冊も紹介してはいませんが

いわゆる暴力とエロスが絡む作品は

程度にもよりますが好物なのです。

 

もっとも著者の作品は暴力はごく少なく

色香のほうが強くなっております。

(ただし例外もありますが…)

 

感想

基本的に著者の作品は静かです。

終わりもだんだんと音量が小さくなっていく感じ、でしょうか。

どの作品もそのような感じです。

 

どの作品にも多少なれど、男女の関係が書かれています。

中には関係に嫌気がさして…というのがあります。

いわゆる完全犯罪が崩壊していく作品です。

 

仕立て人はこのケースでは女性。

完膚なきまでの犯罪を成し遂げた、そう思っていたのですが

それは2つの思わぬ事態で崩れてしまうのです。

 

1つに関しては不運ともいえましょう。

もう1つは、慢心がゆえに起きてしまったもので

これがゆえに犯罪は露呈してしまうのです。

 

結局のところ悪いことをすると

ロクなことがない、ということの典例なのでしょうね。

だけれどももう1つに関しては何とかすればよかったとは

個人的には感じてしまうのですけどね。

 

もう1つはこれまた悪いことはするもんじゃないよな、

と思わせてくれるような作品です。

これはすでにこの世にいない「はず」のものから電話が

かかってくることから始まる物語です。

 

これに関しては真相は自業自得としか。

ただし電話で悩む人ではないところで

事件の真相が出てきます。

 

やっていることがいわゆる最低でそれをやらかした人が

報いを受ける形となっております。

本当に敵なんか作るもんじゃないや、という作品です。

 

最後の作品も面白いのですが、

この作品は唯一色香止まりではなくて交わりの描写が

出てくるところは注意かもしれません。

 

これは生き物の性質がゆえに事件が露呈していくという

面白い作品でもあったりします。

 

 おわりに

この本は途中から(一応短編集の3分冊の最終巻)となっております。

こういうパターンはここでは多いのであしからず。

久しぶりに著者の作品は読みましたが

ワクワクさせられるものも悪くはないけど

こういうじわじわ来るミステリーもまたいいなと思ってしまいました。

 

ただ、こういうのを取り上げると、私の嗜好が

少々ばれてしまうのが玉に瑕ですが…

 

糸冬 了