超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【とても難しい問題】トニ・モリスン「青い眼がほしい」

今日は待たされた…

さすがにいらっと来ましたさ。

(お詫びはもらいました)

 

 

f:id:misasaru:20191216092739p:plain

 

 

トニ・モリスン「青い眼がほしい」

青い眼がほしい
トニ・モリソン

早川書房 2001年06月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 この世界の闇

この世にはまだまだ、解決されない闇というのがあります。

その中に人種差別、というものがあります。

出自というものは変えることができません。

肌の色はこの世に生まれつくときに、選択権はこちら側には

ないのは既知の事実でしょう。

 

だけれども、この世界にはそれをさげすむ愚か者が

相当数いることも事実なのです。

もしもそういう人たちがそちら側で、同じことをされたら

どう感じるのか…そう思うとするだけ無益だと思うんですけどね。

 

感想

※ライトな表現ですが親子とのそういうことがあります。読書時注意。

 

決してこの本には当事者を責め立てる表現はなされていません。

この本の話題の中心であるピコーラや、

彼女を壊してしまう実父ですら、そうです。

 

だけれどもそういう表現だからこそ、

読者が受けるものというものは相当のものとなります。

よく読んでいけばピコーラがいわゆる崩壊家庭の出身で

何も教育を受けていないことは明らかだと理解できます。

 

いわゆる言葉悪く言えば、ガキがガキを産んだのです。

愛する行為のその先がわからず、子供を二人もこしらえたのです。

ただ、ピコーラの兄に関しては男性という優位性もあり

彼はその家庭から逃避することで難を逃れました。

 

そして、彼女の実負はその伴侶から逃げられた原因を

自覚することはできませんでした。

まあ、それゆえに彼の血筋はクソみたいだと批判されたのでしょう。

これは明らかに人種差別がもたらした結果といっても

過言ではない気がするのです。

 

で、何を思ったかやつは…

一応生々しい表現があるので

その部分は苦手な人は読み飛ばしたほうがいいです。

(その結果が最悪の結末なので成立するのです)

 

ちなみに物語中には同じ黒人の人も出てきます。

だけれども、この語り手の子やピコーラと違い、

いわゆる今いるセレブで言えばカニエ的な位置づけの女の子なのです。

無意識にその子はマウンティングをしてくるんですよ。

 

語り手の子はそのマウンティングを避けて

くみしてはいませんが、愛に飢えているピコーラは乗ってしまうのです。

そう、なんも教えてもらえない子は弱いんですよ。

だから後半のしょうもない人間に騙されて

心を壊してしまうのです。

 

 おわりに

これは人種という枠の問題ではない気がするのです。

実はピコーラどころでない大人でも、

このような事態に陥っている人がいます。

まあ、有名人でもね。

 

彼女もまさにピコーラのような人間。

彼女の場合は家庭環境起因ではなくて

いた世界に疲弊したときに弱みに付け込まれたのでしょう。

自分でそれに気づき、その世界から脱却できることを

願わずにはいられません。

(そもそもそういうことをする人たちが粛清されることを願うばかりです)

 

おしまい