超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【言葉通りに解釈するなかれ。でも…】島田荘司「魔神の遊戯」

秋を感じてき始めました。

なぜそう言えるかといいますと…

猫がベッドを占領し始めるからです。

でもね、うち寝る場所、ないんだけど。

最悪ゲーミング座椅子睡眠だなこれ。

 

 

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島田荘司「魔神の遊戯」

魔神の遊戯
島田荘司

文藝春秋 2002年08月30日 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 目の前に出ている言葉は「真実」かしら?

ミステリーという作品は読者をだます崇高なものです。

まあ時折ミステリーとは言い難いちょっと期待外れなものを

引いてしまうことはありますものの、それぞれの作家さんが

いろいろな手法で楽しませてくれます。

 

彼の作品は一時期、ドはまりした作品です。

とても長い作品が多いのですがそれでも読ませるだけの魅力のある

素敵な作品なのです。

 

感想

注:この作品は別サイトで過去扱いありの再読本となります。

 

一応過去扱ったことはあります。

実はタイトルに既視感を覚えていたのでン…と思っていたら再読本でした。

よって2周目となります。

(今後何周でもやりますよ。当たればシリーズだって読むから。

でもね…ローダンとグイン・サーガだけはやらない!!)

 

目の前に出てくる文字情報がこれほどまでに否定される作品も

少ないな、と思います。

まあまあ、この本の形式が「故郷への憎しみ」が強く出ていて

(ただし本人はあまり強くは覚えていない)

どうあがいてもその人がやっただろう!!としか思えない感じに

書かれているからです。

 

ン?こう書くっていうことはつまり…ですです。

ミステリー作品というのはごくまれな一部の作品を除けば

おおむねその読者が思うであろうベターなパターンは起きないのが

現状なのですから。

 

ですが今回は本当に思わぬ形で事実を突きつけられます。

その事実はあまりにも強烈で下手すれば作品の概念そのものを

否定できるクラスなわけですので。

 

ただ、提示される「本当の真相」にも実はこの本中に出てくるような

復讐というものが絡んでくるのは事実です。

ただし、そのスケールは本来の憎しみの持ち主であった

ヤンデル画家さんよりははるかに劣るのです。

 

で、今回読んで印象的だったのは

事件を解明するメンバーが数人出てくるのですが

その中の一人がまあダメ男君で飲んだくれなのですよ。

 

あまりにそれはひどく、周りの女性ばかりでなく同郷の男にも

バカにされる始末なのです。

現実に今回殺された女性たちにもバカにされていたのです。

 

まあ、殺された女性たちは

それだけの要素を持っていたみたいなのですが…

でもそれでもこの飲んだくれさん(バーニーといいます)は

今回犯罪を犯す犯人や憎しみを抱いた絵描きとは違って

決して壊れなかったのです。

 

そう思うと人は弱くて壊れやすいものだと思います。

一人は完全に壊れて、もう一人はその感情を発露させなかった。

そしてもう一人はバカにされようともそれを自覚はして

何も行動は起こさなかった。

 

でも、なんか切ない作品ではあるのよね…

 

 おわりに

再読作品でしたとさ。(タイトルに既視感は覚えたけど気付かなかった)

謎解きも秀逸だけれども

何だろう、人というものの恐ろしさと

強さも感じる作品でしたね。

 

また彼のほかの作品、読めるといいなー。