超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

【決して望む結末は、訪れない】コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」

ゲーミング座椅子が快適すぎます。

もうこの椅子に座るために快適に起きられるという

すんごい事態に。

 

 

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コーマック・マッカーシー「すべての美しい馬」

すべての美しい馬
コーマック・マッカーシー

早川書房 1994年04月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 少年は、すむ場所を飛び出した

この作品は、いわゆるウェスタンの物語です。

二人の少年が、すんでいた地元を飛び出し、メキシコまで行き

数々の経験をしていく物語となっております。

 

その物語に絡むものは「馬」

彼らは馬をこなすスキルは一流だったのです。

ですが、主人公の行為が災いし

一転して地獄に落ちることとなります。

 

感想

この作品、実はとっても珍しい文体となっております。

セリフ部分に括弧書きがない文章なのです。

なので読者には淡々としたイメージを抱かせる文となっています。

 

この作品そのものも淡々とした文章です。

ジョンとロリンズ、そしてなぜかくっついてきた少年がメインだけど

その少年はやがて彼らの元を去っていきます。

なのですが…

 

この突き放したがために、ジョンとロリンズは後々

いわれのない罪を問われることになってしまって

不条理の限りを受けることとなるのです。

 

でもこの事柄があったからといって、ジョンを責めることはできないんですよね。

確かに、ジョンは恋をして一線を越えてしまうことはあって

警告も無視してしまった。

 

でもね、本当に恋をする人ならばそのリスクさえ、時に越してしまうことは

あると思うんですよね。

でも、ジョンは恋をした相手が非常に悪かったのです。

魅力的ではあったものの、

彼が恋をした女性の血統もまた、数奇な運命を

たどりにたどりすぎた血筋なんですよ。

 

そのいきさつは物語の終盤で、余すところなく

恋をした女性の祖母が語ってくれています。

祖母が自分の孫を守りたいことも、痛いほどわかりますよ。

でもね、血筋っていうのはとことんまでも抗いがたいものなのよね。

 

ただ、男(漢)であるジョンはその恋心を断ち切るんですよね。

現実恋する女性の父親には完全拒絶されているので

どうあがいても幸福になるフラグは用意されていないわけでして。

 

そして、もう1つ、ジョンは自分を陥れたやつらに

復讐を遂げるんですよね。

そりゃあそうですよ、何の罪もなく殺人者に仕立て上げられたんですから。

でも鬼畜要素はなくてただただ関係者に己のしたことを

「思い知らせる」にとどめているのです。

 

でもこれも、結構強烈な復習なんですよね…

 

 おわりに

結末は決して読者の望むものではないことでしょう。

でも決して不快感はないのです。

自分を生きていたからこそ醸し出される、何かが

心を打つのでしょうね。