超雑読と趣味と

乱数の女神の子らしく、誇らしくありなさい。

大森望責任編集「NOVA 5」

風が強すぎましたので今日は遠征は中止です。

命に関わるほどの強さでしたからね。

これでガラス片とか鉄板とか飛んできたら危険ですもの。

 

 

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大森望責任編集「NOVA 5」

NOVA 5
大森望

河出書房新社 2011年08月 

by ヨメレバ

 

 

 

 

 輝くSF作品たち

有名な方から、そうでない方まで…いろいろな人のSFが詰められている

まるで宝箱のような作品集です。今回の作品は秀逸な作品ばかりで

読んでいるこちら側も思わずにんまりしてしまいました。

切ない作品が得に輝いているように感じましたね。

 

それでは、感想、いっきまーす。

1作品のみは再読というか…これの長編版に相当する作品を

すでに読んでしまっています。で・す・が…作品としてはグロテスクで

エロティックで、ちゃんとSFテイストではあるので…

 

その作品は友成純一氏の「アサムラール」です。

これはいわゆるバリ島に広まる奇病と呼ばれる代物です。

そして主人公である著者自身(!!)はある日突然失踪してしまうのです。

なんかスケールがえげつないことになっているわね。

 

基本、このアサムラールというものは現地のひとしかかかりません。

だけれどもその例外になってしまったのが…というわけなのです。

どうしてなってしまう羽目になったか?それは物語を通しての主人公の

行動を鑑みればわかることかと思います。

 

なんかとてつもなく背筋が寒くなりましたね。事の真相を知ったら。

だけれども、出てくる事実ってこれ一つじゃないんですよ。

もう一発強烈なものがあります。うん…これまた怖いですよ。

 

もう1つ素敵な作品も紹介しておきましょう。

須賀しのぶ氏の「凍て蝶」、不思議系なSF作品でしょうか。

父の描いた絵を欲しがる一人の女性の出会いから始まるお話です。

 

主人公の男はその女性になんとなく違和感を覚えていたのですが

実は彼女にはとんでもない秘密が隠されていたわけなのですよ。

そんな事があるの、と思うぐらいの不思議な出来事を彼女は

体験していたわけなのです。

 

で、それを知ることはイコール、命を失うことを意味していたのですが

どうやらその法則はこの物語中では当てはまらなかったようです。

不思議で、ちょっと切ないけれども救いのある、といったものでしょうか。

 

最後に、これは紹介しておきませんとね。

火星のプリンセスの後編の作品です。

次の掲載で完結を見る大作です。

 

ボーイミーツガールものとして始まった作品なのですが

彰人には子供ができ、さらにその娘に関しては

とんでもない力と危険性を秘めていることが判明しているのです。

 

世界観がかつて読んだある作家の方と似ている気がしますが

それはその人の世界戦、この作品はこの人の世界観ですからね!!

でも共通して感じるのはやっぱり切なさなんですよね。

母親である麻里沙も娘である栖花も結局は何らかの歴史を変える

アクションを起こして、結局はその身を滅ぼさなければならなかったのですから。

 

そして彰人は結局、そのフラグをへし折ることはできませんでした。

彼にはそれをしようとしても、できなかったのでしょうね。

人はそれをヘタレ、意固地なしと呼びますが誰しもが持ち合わせるもの

それを頭ごなしに否定はできないかと思います。

 

 おわりに

今回の傑作選は良い作品ばかりでしたね。

オチがわかりづらい作品も見受けられませんでしたし。

まあ、連作がそれに該当する気もしなくはないのですが

あくまでも途中で終わっていますので…

 

おしまい