例の件はどうやら暗躍する「何か」があるようです。
そりゃあああいうものを使えばいくらでも扇動ができるの。
くれぐれもそれに乗っかることのなきよう。
一応うちの地元でもその影響はもろ出ているぐらいですので。
パセリ伝説 memory8 講談社 2008年12月16日
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人生は、困難がつきもの。
この作品は全部で12巻の作品となっています。
主人公のパセリはアクア国のお姫様ではあるものの、よくあるような
「主人公最強説」とは全く真逆の、苦労多き生活を送っています。
困難の中で自分とうり二つの訳ありの妹が出てきて自体はなお複雑に…
この作品、こんな今だからこそ子供大人問わず読んでほしいなと思った次第です。
なぜならば、こんな時に突き刺さる要素が数多いんですもの。
アンテナが大きくなると、こういう出会いが多くなるのって魅力ですよね…
それでは、感想を。
まずね…とっても切ない。切なすぎるのさ。パセリは頑張っているのにかかわらず
その噴泉の結果が空回りするときもとても多いんですよね。
あまりにもそれはまだまだ未熟な彼女にとっては過酷で心が折れてしまいますよ。
読んでいるこちら側も。
だからこの本を読むときはちょっと気持ちを切り替えないと
いけないときがままあります。それはきっとパセリと同世代の時に
とびきり理不尽な思いをし続けたこともあるのでしょう。
(ここでは話すことはないですがそれはそれは目の前が真っ暗にしか
ならないトラウマです)
だけれども、決してこの作品は希望はほんの少ししかないのだけれども
本当に一筋だけでも光を残してくれているのです。
それは、パセリがたとえピンチでも明らかにまずい状況下なのに助けに来てくれる
ちょっときかんぼうだけど心はまっすぐなお友達。
そんな彼女は向こう見ずに敵の本拠地へ赴き
その結果捕らえられてしまったパセリを助けに行くのです。
だけれどもパセリも普段は自分から感情をあらわにして立ち向かうというのは
なかったのでまた彼女は成長しているんですよね。
そしてだんだんと敵のほうにも多少なりともほころびが見えてきているんですよ。
なぜかといいますと…パセリの妹のミモザにビスマルク・リンに対する
不信感というのが見え隠れしているからです。
そう、アクア国に敵対するフラム国というのは表現こそ変えているのですが
ある種、私たちの生きる地球そのものを表現しているんですよね。
文明は確かに発達しているのですがその文明は資源が犠牲になっているのです。
資源というのは…無限にはありませんよね?有限です。
資源がなくなってきたフラム国はアクア国を侵略しようとしてきたのです。
ン…?この構図はどこかで見たことがありますよね。
これと同じようなこと、今起きていますよね。
だからこの本を読むたびにすごく、著者には怒られている気がするのですよ。
本当は子供たちは未来のあるものを見せなければいけないのに
残念ながら、それを奪うようなものしか見せていないから。
そして、すごく刺さるものだったのはなぜパセリのような人がいないといけないのか?
というくだりで「そういう人がいなければ世界は滅びる」ような旨の言及が
なされていることなのです。
パセリはちょっとまっすぐでありすぎる気もしますが、
その正直な心というのは見ていてこちらがピシッとしないとなと
思わせるものがあります。そういう人たちがいるからこそ、世界は回るのですよね。
でも、今の私たちの環境は、決してそうとは言い切れないのです。
そう、リンのような利己主義の塊が多くて…
最後のほうではある悲しき出来事が起きてしまいます。
実は、その出来事はすでにパセリにつくパートナーの一人が予見していました。
それが現実の形になるんですよね。
やはりどうしても闇という存在は、こちらを巧みに引き寄せてしまうようです。
希望はないのかな?
いや、そうではないと思いますよ。だけれども、やはり大きな事柄が絡むと
それが打開されるのは本当に長い長い時間がかかり
多くの困難に出くわさないといけない。
我々読者ができるのは「パセリの成長を見守ること」それしか、できないのよ。
でも、それを乗り越えて、彼女はこの世界にはびこる悪に対峙していくと
思うのですよ。
もう残りは4巻。どうなっていくのでしょうね…
続きが気になるよ!!